626 風に吹かれる砂のように ペニー・ジョーダン

風に吹かれる砂のように (ハーレクイン・ロマンス)

風に吹かれる砂のように (ハーレクイン・ロマンス)

サディーは母の再婚相手の二枚舌のおかげで男性に失望した。就職した指折りの金融会社でも、同僚の態度や、半年後の不当解雇に至るまで失望の連続だった。新規まき直しを賭けて、アラブにやって来たサディーは、雇用主から、女の武器を使って契約を取ることを示唆されて、拒絶し、またしても失業する。しかし、その解雇の場面に居合わせた男性から、仕事を提供すると言われて、戸惑った。その男性は、彼女に、これまで感じたことのない不慣れな感覚を生じさせる。それは、欲望だった。
ドゥラックスは、双子の兄と共に国を統治してきたが、彼らと自分たちの娘とを結婚させて、有利な立場になろうとする隣国の意図に気付いていた。それを回避するためには、仮初めの妻が必要だった。友人が、サディーのことを、息子の嫁にしたいくらいの女性だと言ったことから、兄ヴェレの妻に丁度良いと決断する。問題は、彼女に対する自身の反応だった。痛みを感じるほど、彼女が欲しかった。
サディーの元同僚のジャックは、自分を拒んだサディーに憎しみを抱いていた。彼女に報復してやる。ジャックは、ドゥラックスの面前で、サディーに辱めを与え、それを目撃したドゥラックスは、激怒のあまりサディーが、脅え、傷ついていることに気付かなかった。
この女は、兄の妻に相応しくない。だから、彼女を抱いても構わないのだ。しかし、欲望の嵐に浚われながら、サディーがバージンだと告げた一言は、ドゥラックスに冷水を浴びせた。彼女がバージンなら、彼女は兄の物だ。
ヴェレは、ドゥラックスとサディーに通い合う雰囲気に気付いていた。彼女を妻に相応しい女性だと称賛し、ドゥラックスの告白を待ったが、ドゥラックスは嫉妬と兄への忠誠心に苛まれ、悶々とするばかりだった。
一向に打ち明けようとしないドゥラックスに、ヴェレは沈黙を破り、ドゥラックスの誤解を解いた。そして、ドゥラックスはサディーに許しを乞い、愛と結婚を誓った。


正統派シンデレラ・ストーリーですね。