548 こぼれ落ちた月日 エリザベス・パワー

こぼれ落ちた月日 (ハーレクイン・ロマンス)

こぼれ落ちた月日 (ハーレクイン・ロマンス)

サンチアは二年前事故に合い、記憶を失った。やがて、幼い頃からの記憶から戻ってきたものの、最近の記憶は戻らないままだった。サンチアは精神科への通院を止め、そのままの状態で生きて行くことを決める。イギリスに戻って二週間後、陪審員に選ばれたサンチアは宣誓するために立ち上がったが、一人の弁護士に阻止され戸惑う。退廷を促されたサンチアは訳のわからない恐怖を感じ、蒼白になった。
アレックスは行方知れずだった妻が、陪審員席にいるのを見て、驚愕した。だが、二年ぶりに捕まえた妻は、彼のことをすっかり忘れていた。アレックスは、彼女の記憶を取り戻す手助けをすると約束し、サンチアを食事に連れて行った。彼女が不幸だった結婚生活を忘れているなら、やり直すチャンスがあるかもしれない。アレックスは懇意にしている精神科医に紹介すると言って、二人が幸せな時を過ごしたバミューダに連れて行くことを決めた。
二人の間に何があったのかは、わからない。でも、彼が欲しい。サンチアはお互いが望んでいることなのだと、彼を誘惑し、至福の時を過ごす。だが、翌日ヤズミンがやって来た。ヤズミンはアレックスと結婚についての話をしたと告げ、サンチアの武器は無くなったのだから、彼を繋ぎ止めることはできないはずだと言った。サンチアはヤズミンの口から、自分はアレックスの妻であり、妊娠が理由で結婚したことを知らされる。激情に駆られて、アレックスに電話したサンチアは、彼を責め、詰った後、ふらふらと外に彷徨い出た。雨に打たれながら、サンチアの脳裏に次々と記憶が甦る。婚約者の裏切りと死。悲しみと喪失感から見知らぬ男性に身を任せ、妊娠したこと。子供の父親が、婚約者の兄で、否応なく結婚を迫られたこと。でも、彼と過ごすうちに、恋に落ちたものの、ヤズミンから、アレックスは義務で結婚しても愛しているのは自分だと告げられたこと。そして、流産し、彼との絆は断ち切られ、居たたまれなくなったサンチアは逃げたのだった。彼を愛している。でも、義務感から結婚を続けるのは耐えられない。
サンチアは心にもない事を言って、アレックスから別れを告げられた。彼もそれを望んでいるのだ。しかし、アレックスの友人から、サンチアは意外な話を聞く。名前も告げずに消えたサンチアを、アレックスが必死で探していたこと。ヤズミンの愛や結婚の話は、彼女一人が言っていることだという真実。そして、彼女はアレックスはサンチアを愛していると言った。本当にそうなら、賭ける価値はある。
サンチアは航空券をキャンセルして、アレックスのいる場所に向かった。だが、アレックスの態度は冷たかった。やはり、自分の思い違いだったのだ。これまでだと悟ったサンチアは、自分が望んでいるように、彼も望んでいると思ったと告げる。アレックスは彼女の努力を無駄にすることはないと言って、彼女を抱きあげた。そして、抵抗するサンチアを最上階に運んで行く。義務から結婚を続けるなら意味はない。でも、一度だけでも愛していると言ってくれるなら、どんなことでも許すとサンチアは言い、アレックスは千回は言わなくてはと答えた。サンチアは信じることが怖かったが、やっとお互いが同じ気持ちでいることに気付く。


本心が言えない男女の話。


記憶喪失ってさ、ホントにあるって最近知った。知り合いの息子さんが、交通事故で、いまだに、その前後の記憶がないんだって。身近にあると、びっくりするよねぇ。