297 眠れぬ夜の誘惑 エイミー・J・フェッツァー

眠れぬ夜の誘惑 (シルエット・ディザイア)

眠れぬ夜の誘惑 (シルエット・ディザイア)

9年前、二人はキスを交わした。ケインは自分に対する彼女の力を恐れ、遠ざかった。ケインの態度に傷ついたフィービーは去って行ったが、彼を忘れることはできなかった。
数年後、ケインは女性を妊娠させ、結婚した。直後、流産したものの離婚は考えていなかった。ケインはリリーに愛されていることに気付いていたが、彼女を愛することはできなかった。やがて、それに気付いたリリーの愛は怒りと憎しみに変わり、二人は諍いを繰り返し、ケインは離婚を決意する。しかし、弁護士との会話を聞いてしまったリリーは、激怒し家を飛び出した。リリーは川をボートで漕ぎ出し、溺れて亡くなる。妻を愛することができなかったばかりに、死なせてしまったことをケインは悔やんだ。ケインは社交の場から姿を消し、屋敷の中で暗い惨めな生活を送ることを自分に科した。
フィービーはストーカーに殺されそうになった。犯人は社会的に地位のある裕福な男性であったため、フィービーの言葉は歪められてニュースになった。パパラッチに追いかけ回され、疲労困憊したフィービーは、親友に彼女の兄の元に身を隠すように勧められる。ケインは妹の頼みに戸惑った。フィービーは彼の欲望の化身。傍にいることは危険だった。しかし、ケインはフィービーを守ってやりたいと強く思った。フィービーはケインの固い殻を次々と剥いでいった。いけないと知りつつ、ケインはフィービーを欲しいという気持ちと戦い、やがて敗れる。フィービーは9年間待っていたと言った。そして、素晴らしかった。しかし、ケインは今だ過去に囚われていた。
公判が決まり、恐怖に震えるフィービーに、ケインはついて行くから、証言して犯人に罰を受けさせようと言う。自分を守るために、固い要塞から出る決心をしてくれたケインを、フィービーは深く愛していると確信した。ケインの姿を支えにして、証言台に上ったフィービーは有罪を勝ち取った。しかし、ケインの気持ちは変わらなかった。フィービーが自分から去って行く。当然なことと受け入れようとしたケインは、ひどく間違っていることに気付く。彼女は自分の命そのものだ。ケインは朽ち果てたボートに火を放ち、過去と決別した。そして、まさに車に乗り込もうとしていたフィービーを捕まえ、行かないでくれと懇願した。愛していると。フィービーは、時間がかかったわねと言った。


これも、眠れる王子さまの話ですね。結構ホットかな。