622 妻に望まれた理由 ケイト・ウォーカー
- 作者: ケイトウォーカー,Kate Walker,柿原日出子
- 出版社/メーカー: ハーレクイン
- 発売日: 2011/08/18
- メディア: 新書
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口論のあと、ザレクは航海に出かけ、そのまま行方知れずとなる。
ペニーは、彼の生還を信じ、待ち続けたが、ザレクの船を襲った男が、ザレクを殺したと自白する。二年間、ザレクのために会社を守り続けたペニーは、精魂尽き果てていた。ザレクが父から譲られた会社を、義母と、その息子たちに手渡したくなかった事は知っていたが、もううんざりだった。
ザレクは航海中に、海賊に襲われ、囚われの身になった。命の危険を感じた時、ザレクに生きる力を与えたのは、ペニーの元に戻りたいという思いだけだった。だが、銃に撃たれ、海に投げ出されたザレクは、命は救われたが、記憶を失う。ザレクは孤独を感じ、徐々に戻って来た記憶の中の女性を求めた。二年の月日が流れ、やっと記憶を取り戻したザレクは、内情を知ろうと会社と家族を探り、ペニーが会社を手放す決意をしたことを知る。
ペニーが、この結婚に求めていたのは何だったのかを、ザレクは知りたかった。情熱的だった妻が、次第にザレクと距離を置き始めた理由を。
幼い時に母を亡くしたザレクは、愛を知らずに育った。ペニーとの結婚は、ザレクの世界に光をもたらし、彼を変えたが、その事実をペニーは知らなかった。
突然帰ってきた夫に、ペニーは、彼女を妻にした理由を、ついに聞いてしまう。覚悟はしていたものの、ザレクの肯定の返事は、彼女を深く傷つけ、動揺させた。
ザレクは、自分の留守中にペニーが書いた企画書を見つけ、そこに彼女の自分への愛を見つける。これまでのことを謝り、彼女への愛をわからせなくてはいけない。
間違った理由で結婚してしまったけれど、自分が成長したことを知って欲しかった。結婚に必要なのは、情熱と欲望だけではない。もっと、ささやかで穏やかな何か。それは、気付くまでは、ザレクが取るに足らないものと思っていたものだった。それこそが、とても大事だったと、今では気付いていた。
孵卵器として求められただけと知り、落胆した女。できちゃった婚で結婚した両親の板挟みとなって育った彼女は、愛し合う両親の元に生まれるのでない限り、子供に不幸が及ぶと知っていた。彼の子供は欲しいけれど、後継ぎは産みたくない。だが、その女心を、彼は理解できない。そして、離れていた月日が、彼らを成長させ、結びつけるという話。