621 罪と罰と小さな秘密 メラニー・ミルバーン

罪と罰と小さな秘密―ダイヤモンドの迷宮〈6〉 (ハーレクイン・ロマンス)

罪と罰と小さな秘密―ダイヤモンドの迷宮〈6〉 (ハーレクイン・ロマンス)

キャシーが生まれた日、母は亡くなった。父親は市長を務め、人望がある人物に見えたが、家では酒を飲み、暴力をふるった。4歳の時、キャシーは父に腕を骨折させられたが、それを話すことを禁じられた。そして、愛情深い父親として、嘘つき癖のある娘に悩む父を演じた。絶え間ない暴力にさらされながら育ったキャシーは、思春期になると、父への対抗意識から、パーティに明け暮れるようになり、セバスチャンと知り会う。
二人はお互いの欲望に溺れた。しかし、次期国王であるセバスチャンは、肉体関係だけの付き合いであることを示すように、二人の交際を秘密にした。
セバスチャンを愛していたキャシーは、将来のない関係を終わらせるために、自分を尻軽女に見せ、彼と別れる。そして、この土地から出て行くつもりだった。
その夜の父親の暴力は、彼女の肌に惨い傷跡を残し、足を滑らせた彼は亡くなってしまう。初め事故として処理された事件は、その夜、父娘の言い争う声を聞いたという通報で、殺人事件とされ、キャシーは逮捕された。誰もキャシーの話を聞こうとせず、信じる者もいない中、彼女は父親殺しの汚名と共に投獄される。獄中で、キャシーは妊娠を知らされ驚愕した。セバスチャンのために、秘密は守らなくてはならない。父親の名を明かさぬまま、キャシーはサムを産んだ。5年後、キャシーは仮釈放を受け、孤児院で働き出した。更生プログラムで、一年間孤児院で働けば、晴れてこの国から出て行ける。
その期限も、残り一ケ月となった時、キャシーはセバスチャンと再会してしまう。
セバスチャンは、キャシーにかき立てられる衝動を感じ、彼女を忘れるためには、もう一度、彼女を抱くしかないと決意する。
皇太子として注目を浴びる彼が、なぜ、そんな危険を冒そうとするのかわからない。しかし、キャシーには拒むことができなかった。
そして、セバスチャンは、サムの存在に気付いてしまう。自分そっくりのサムを、セバスチャンは愛したが、元受刑者の妻を国民が受け入れるはずがない。
キャシーとサムとの時間を過ごすうちに、自分が信じ込んでいたキャシーと言う女性像が薄れ、痛ましく、不幸な女性が見え始める。
身体に残る醜い傷跡と、それ以上に深い心の傷。彼女を守ることができなかった自分に、セバスチャンは後悔を感じた。どうすれば、彼女に償えるのかわからない。セバスチャンは、キャシーの父親を切り刻んで、殺してやりたかった。あの時、周囲の人間は18歳の娘を、寄ってたかって痛めつけ、投獄した。その上、今は酷い中傷を浴びせているのだ。
サムの出生の秘密がばれ、キャシーは幼いサムを守るために島を予定通り出ることを決める。怒号と押し寄せる群衆を無視して、フェリーに乗り込んだキャシーは、隣に腰かけた女性から話しかけられた。
ジャーナリストだというその女性は、彼女の父親の元で働いていたと言い、彼から暴力と不当な扱いを受けたと言った。キャシーが真実を話してくれれば、それを裏付けてあげられると。サムのために、汚名を晴らすことができれば、人生を取り戻す一歩になる。
キャシーは、どこか静かな場所で、サムと二人、ひっそりと暮らそうと思っていたが、セバスチャンは追いかけて来た。二人に未来はないというキャシーに、セバスチャンは彼女をずっと愛していたと告白し、プロポーズする。彼は、国民がキャシーを受け入れないのなら、王位など捨てると言った。そして、ずっと一緒に暮らし、もっと子供を作ると約束する。


ジャーナリストが書いた記事や、セバスチャンが群衆に向かって言ったキャシーの弁護のセリフが書いてないので、ちょっと欲求不満かな。もしかしたら、この「ダイヤモンドの迷宮」のシリーズの他の作品にあるのかも・・・。