624 スペイン式プロポーズ キャシー・ウィリアムズ

スペイン式プロポーズ (ハーレクイン・ロマンス)

スペイン式プロポーズ (ハーレクイン・ロマンス)

大学入学までの猶予期間をスペインで過ごしたアンドレアは、働いていたホテルで、ルシオと知り合い恋に落ちた。だが、情熱的な逢瀬は、若いアンドレアに自分は相応しくないという彼の言葉で終わりを告げる。イギリスに戻り、大学に通い出した時、アンドレアは妊娠に気付き、ルシオと連絡を取ろうとするが、彼は見つけられなかった。
アンドレアは両親の援助を受け、シングルマザーとして生活を始める。
ガブリエルは両親のお膳立てで決めた婚約者にウンザリしていたが、彼女を選んだことに後悔はしていなかった。贅沢と自分自身にしか興味がないクリストベルなら、仕事三昧の夫に不満を言うこともないだろう。クリストベルの買い物の通訳として秘書が連れて来た女性を見て、ガブリエルは驚く。5年前、ガブリエルが自分の素性を隠して行動していた時に恋人だった女性だった。だが、彼女は一瞬ガブリエルを凝視したものの、別人と解釈したようだった。ガブリエルは終業間近に、アンドレアを呼びつけ、自分がルシオであると知らせたが、アンドレアは彼が嘘をついて自分を欺いたと責めた。
翌週、アンドレアは会社を辞め、元いた職場に戻ったが、8日目にガブリエルが訪ねて来る。婚約者もいる身で、自分が何をしたいのかもわからないまま、ガブリエルはアンドレアを退職させてしまったことを詫びて、戻って来るように依頼する。
アンドレアは、これ以上息子のことを黙っていることができなかった。息子にも、ガブリエルにも知る権利がある。
言われるまま、彼女を家に送ったガブリエルは、アンドレアの腕に抱かれた幼子を見て、自分が父親であることを知った。
でも、彼女を責めることはできない。彼女を捨てたのは自分であり、自分の素性を知らせていなかったのだから。初めてガブリエルは罪悪感を感じた。犯した過ちは、正さなくてはいけない。
婚約を解消し、アンドレアと結婚する。それがガブリエルが下した結論だったが、アンドレアはそんな結婚は、子供に害を及ぼすと一蹴した。
それならと、ガブリエルは孫を待ち望む両親に会わせるためと、二人をイタリアに招待する。素晴らしい景色、豪邸、甘やかしてくれる祖父母に囲まれて、ルークは父親を崇拝し始め、イギリスに帰って来た時には、ガブリエルの存在は欠かさぬものとなっていた。
アンドレアは苦しんだ。ガブリエルを愛しているが、彼が自分に感じているのは欲望だけだ。でも、プロポーズを断れば、彼の目は他の女性を捜し始めるだろう。愛されていないとわかっていても、結婚を承諾するしか、道はない。
だが、イエスと答えた直後、ニューヨークに行ったガブリエルがクリストベルとの写真をタブロイド紙に載せられ、アンドレアはショックを受けた。
ガブリエルはアンドレアと連絡が取れないことにイライラしていた。心配で仕事に集中できなくなったガブリエルは、アンドレアの家を訪れ、クリストベルが復讐を叶えたことを知った。これが最後のチャンスだ。
ガブリエルは、真摯に愚かな自分が恋に落ちたことも、彼女を愛していることにも気付かなかったと告げた。彼女のせいで、自制心を無くし、集中力を失くしてしまったと。
アンドレアは笑って、愛していると答えた。


莫大な富を持つ男は、媚びへつらう人々から離れて、無邪気な夢を見ようとした。だが、恋人から愛を告げられ、若い彼女に人生を決めさせてしまうのは早すぎると、彼女の前から消える選択をする。それがひどく傲慢な決定だと、気付きもせずに。そして、5年後、二人の人生がまた交差する。