496 秘書とボスの心得 キャロル・マリネッリ

秘書とボスの心得 (ハーレクイン・ロマンス)

秘書とボスの心得 (ハーレクイン・ロマンス)

ハンサムな父と3人の兄に囲まれて育ったエマは、男性に不信感を持っていたため、これまで男性経験が全くなかった。面接で社長のルカを見た時、ときめきは感じたものの不実な男だと判断し、彼の誘いをはねのける。社長秘書イヴリンは、初め不採用としたエマを、社長の誘惑に乗らない女性だと判断し、雇うことを決める。仕事はやりがいがあったが、エマとルカの間の緊張感は増して行った。
ルカは父の母に対するDVと、どうすることもできない落胆とで、家族から離れていたが、妹ダニエラの結婚が決まり実家に戻ることを嫌悪していた。帰らない訳にはいかない。祖父と父の弟が妻を殺したことに気付いていたルカは、自分にその一族の血が流れていることに悩み、自分の代でその血を絶やすことを決意していた。エマが欲しい。彼女がいれば、茶番のような家族ゲームに耐えられる。初め同行を拒絶したエマは、父の漏らした言葉から、母が亡くなる直前、家族を捨てて家を出ていたことを知って、考えを変える。理由があってバージンを守っていた訳ではない。彼を最初の男にすることに躊躇いはなかった。ルカは彼女と共に過ごす生活を、時折想像した。だが、いつか父のように、女性を傷つけたりしないと確信できない。ルカはエマを愛していた。ルカは主治医レオに相談を持ちかけるが、血縁から逃れることはできないと言われ、エマを手放すことを決める。
愛を囁いた直後に、突然冷たく終わりを告げられて、エマは傷ついた。わかっていたはずだった。だが、愚かな心は、それでも彼を求めていた。私は一生彼を愛し続けるだろう。二人は仕事だけの関係に戻ったが、それは身を切られるように辛かった。避妊していたにも関わらず、妊娠したことはエマにもショックだったが、打ち明けて非難を受けることは耐えられず、エマは自分の胸に閉じ込めた。ルカはエマの妊娠に気付くが、自分のような父親はいない方がいいと考えていた。
ルカの母は、ルカの打ち明け話に驚愕した。そして、ルカの実父はレオであると話す。結婚した時、すでにルカを身ごもっていたのだと。忌まわしい一族の血を受け継いでいないことを知って、ルカは愕然となった。手遅れでなければ、愛する女性を説得しよう。ルカはエマに真実を語った。忌まわしい歴史と、自分の苦悩。そして、心に秘めていた本心を。エマは彼を許し、二人は家族となった。


珍しく、ころころ変わる男心の話。それに振り回されつつも、毅然と立ち向かう強い女性がいいですね。