599 愛に怯える花嫁 サンドラ・マートン

愛に怯える花嫁―王子に魅せられて〈2〉 (ハーレクイン・ロマンス)

愛に怯える花嫁―王子に魅せられて〈2〉 (ハーレクイン・ロマンス)

幼い時、母の再婚でアイビーに父と姉ができた。アイビーは、二人を家族として愛したが、ある夜、義父からレイプされる。姉となったケイは、アイビー自身が招いた結果だと責め、アイビーには身を守る術がなかった。やがて、母と義父が事故で亡くなると、姉妹は里子に出され、ケイは18歳になるとアイビーを置いて、出て行った。またしても、里親の性的暴行を受けたアイビーは、ケイに助けを求め、しばらくケイと同居するが、モデルのスカウトを受けて一人立ちする。アイビーは、有名になり、活躍の場を広げて行った。そして、突然ケイが現れる。ケイは、心から愛する男性に子供をプレゼントしたいと言った。流産で、子供の産めなくなった自分の代わりに、アイビーに彼の子供を産んで欲しいと言うのだ。見知らぬ男性の子供を産むことなどできない。しかし、レイプの記憶から、セックスに恐怖を感じる自分には、結婚や出産は不可能だと思っていた。躊躇するアイビーに、ケイは里親から救い出してやった恩を返せと迫った。断ることができずに、アイビーは人工授精を受けるが、妊娠が確定した時、おなかの子を手放すことなどできないと思い知る。そんな時、ケイの事故の知らせが入り、アイビーは途方に暮れた。だが、何の連絡もよこさない事実が、彼女に決断させた。彼に会って、親権や、その他の権利を放棄するという書類が欲しいと告げるのだ。
デミアンは狡猾な女に騙された自身の愚かさが腹立たしかった。だが、妊娠が嘘だと知った後で、落胆を感じた自分に、心からそれを望んでいたことに気付かされる。車を降りた時に見かけた、すこぶるつきの美女の訪問に、デミアンは怒りを爆発させ追い返そうとするが、意外な彼女の反応に疑問を感じる。彼女はケイの妹と名乗り、彼の子供を身籠っていると言った。会ったこともない女を妊娠させられるはずがない。だが、女は、子供はケイとデミアンの子供で、自分は代理母だと言った。女の魅力とマスコミの力で、自分から金を巻き上げようとしているのだ。だが、予想に反して、彼女は子供に関する権利の放棄以外、何もいらないと告げる。そんな話が信じられるはずがない。デミアンは、彼女を監視するために、自分の屋敷に連れて行くことを決意する。今まで感じたことのない強い欲望に、デミアンは苛立ち、アイビーを自分のものにすると告げた。
しかし、抵抗し、恐怖に震えるアイビーを見て、デミアンは真実に気付く。彼女を傷つけた男がいる。拒絶の後、島から逃走しようとしたアイビーを捕まえ、デミアンは愛を告白し、プロポーズしたが、アイビーは結婚はできないと答えた。セックスが怖いから無理だと。だが、デミアンはセックスと愛の行為は違うことを、自ら教え、彼女の承諾を得た。そして、不安に曇るアイビーに、何を聞いても、彼女への愛が変わることなど、有り得ないと宣言する。
ケイは死んでいなかった。ケイは、自分が夫にすると決めた男と、契約の要となる子供を取り返すために、戻って来る。彼女は、嘘の中に真実を混ぜ込み、デミアンの心に疑いの種を蒔こうとした。アイビーは、ケイが自分を憎んでいたことを知らされた。もう、耐えられない。醜い嘘から遠ざかりたい。アイビーは駆けだし、屋敷から離れようとするが、デミアンに捕まる。愛していると彼は言った。何があっても、愛し続けると約束しただろうと言って。そして、永遠に愛し、守ることを約束した。


美しく、優しい娘は、卑劣な人間たちに、傷つけられ、いたぶられていた。自分勝手な女は、自身の贅沢と快楽のために、卑劣な罠を思いつき、彼女の愛を利用するが、生贄は愚かではなかったという話。