592 せつない季節 ダイアナ・パーマー

せつない季節 (ハーレクイン・プレゼンツスペシャル)

せつない季節 (ハーレクイン・プレゼンツスペシャル)

嫌いになれなくて

両親が亡くなって、伯母に引き取られたテディは、孤独に育った。14歳の時、伯母の恋人にレイプされそうになって、男性を恐れるようになっていたテディは寄宿学校でジェンナと友人となり、ジェンナの兄キングと出会ったのは15の時だった。学費を稼ぐために、ジェンナはモデルの仕事をしていたが、出会った時からキングは彼女を尻軽女と決めつけ、軽蔑を露わにしていた。17歳の時、伯母の元恋人の執拗な誘惑から逃れるために、ジェンナに誘われるまま、キングの牧場に滞在するが、キングを意識している自分に気付く。手ひどく拒絶されて傷ついたテディは、二度とキングに近づくまいと決めていたが、二十歳の夏休み、ジェンナを迎えに来たキングに同行するよう言われ、期待を感じる自身に戸惑った。
キングは出会った時から、テディが欲しかった。だが、彼女を自分から守るためには、彼女を嫌っていると思わせるしかなかった。辛辣な言葉で真実を覆い隠す彼女の秘密を、キングは知ろうとする。
テディに執着する男は、牧場まで彼女を追って現れ、キングに嘘を囁き、キングは嫉妬のあまり、それを信じてしまう。怒りに自制心を失くしたキングは、テディを組み敷き、テディはレイプの恐怖を思い出す。キングは自身の手で、築きかけていた二人の絆を断ち切ってしまったことに気付き、深い後悔に苛まれた。
テディはニューヨークに戻り、学費を稼ぐために、忙しく働いたが、ある日道路で躓き車にはねられる。それを耳にしたキングは、拒絶しようとするテディを説き伏せて、牧場に連れて行った。それからのキングは、優しかった。だが、彼は欲望を露わにし、彼女が欲しいと告げる。
テディもキングが欲しかったが、束の間の関係では満足できなかった。歩けるようになると、テディはニューヨークに帰るとキングに告げた。始め激怒したキングは、空港に到着すると、出会ったときから彼女を愛していたことを、初めて告白した。欲しいのは身体だけではない、全てだと。そして、彼を見上げる彼女の目に、彼への愛が輝いていることに、やっと気付いた。


孤独が終わるとき
18で結婚したマギーは、半年後、夫を失くした。身籠っていたマギーは、一人でブレイクを産み、育てた。義父が亡くなった時、牧場を残されたマギー親子は、ブレイクの熱心な願いもあって、クリスマスを牧場で過ごすことを決める。ブレイクは隣の牧場主ホリスターが気に入り、憧れていた為、母親と彼を親しくさせようと、計画を練り始める。
ホリスターは、過去、弟の子供を身籠った女性と結婚していたが、不幸な事故で、妻と子供を失っていた。マギーとブレイクは、彼の失ってしまったものを思い出させる。
雪深い牧場で、発電機が故障し、マギーとブレイクはホリスターの家に招かれる。やがて、マギーとホリスターは惹かれ合い、ブレイクはクリスマスの朝、欲しかった父親を得るという話。