591 トスカーナの憂鬱 ダイアナ・ハミルトン

トスカーナの憂鬱 (ハーレクイン・ロマンス)

トスカーナの憂鬱 (ハーレクイン・ロマンス)

華やかな姉ジリーは、自分のために家も蓄えも使った挙句に、多大な負債を残して出て行った。残された母とミリーは、狭いアパートで借金を抱え、細々と暮らしていたが、やがて、母は亡くなり、ミリーは仕事も失おうとしていた。引っ越したいと思いつつも、ジリーから連絡があるまでは、移転する訳にいかない。そんなある日、一人の男が現れる。彼は、ミリーをジリーだと思い込み、償いをさせると言った。双子だった二人は、そっくりだったが、派手なジリーと違い、ミリーは内気だった。チェザーレはジリーを最初見た時から、胡散臭いと感じていたため、彼女が祖母の金を盗んで、居なくなった時、意外だとは思わなかった。だが、話相手の居なくなった祖母は、すっかり元気を失くしている。祖母のためには、この女を連れ帰るしかない。
一緒に来なければ、法の裁きを受けさせると脅されて、ミリーは恐怖を感じた。ジリーを助けたい一心で、ミリーはしばらくジリーの身代わりをすることを決意する。軽薄そのもののジリーの服を着こんで、ミリーは旅立った。
怯えるミリーが、イタリア語を理解できないことに、チェザーレは不審を感じ、探偵に調べさせて、連れて来たのがジリーではないことに気付く。
追い出すことも考えたものの、喜ぶ祖母にショックを与えたくなかったチェザーレは、しばらく様子を見ようと決める。ジリーには感じたことのない感情にも、チェザーレは戸惑っていたが、やがて、ミリーが姉とは全く違う善良な女性であることに気付かされる。
ミリーは、人を騙しているという罪悪感と、ジリーを守りたいという使命感に揺れ動いていたが、チェザーレを知るうちに、彼の温情に訴えることができるかもしれないと決意する。
チェザーレは、ミリーの告白に安堵した。そして、彼女への愛を確信する。
チェザーレはミリーにプロポーズしたが、公開は祖母の健康が回復してからにして欲しいと、ミリーに言った。
ミリーは、天にも昇る気持ちだった。これまで、ジリーの影に隠れ、男性と付き合ったこともない地味な自分を、彼が望んでくれている。
そして、チェザーレはミリーのために、ジリーを捜し出した。
母が亡くなったと聞いても、ジリーは哀しみを見せなかった。その代わりに、ジリーは、ミリーの心にチェザーレへの不信感をかき立てようと、嘘を並べた。だが、それはミリーの心に動揺をもたらす。部屋を飛び出したミリーは、チェザーレの制止を振り切って、車に乗り込み空港に向かう。
チェザーレはミリーを必死で追いかけたが、渋滞に巻き込まれる。彼女がイギリスに着いてから、どこに向かうのか、チェザーレにはわからなかった。
しかし、運命はチェザーレに味方する。チェザーレは搭乗口で、ミリーを見つけた。彼女はチェザーレを見ると、安堵を浮かべ、彼に真偽を確かめようともせずに、ジリーの言葉を信じたことを謝罪した。ミリーは自分を信頼してくれている。チェザーレは喜びに包まれ、自分の全ては彼女のものだと告白した。


同じ顔と肢体を持つ双子。いくら魅力的に見えても、正しい心がなくては、幸せは手に入らないという話。