593 深い夜の記憶 ビバリー・バートン

深い夜の記憶 (ハーレクイン・スポットライト・プラス)

深い夜の記憶 (ハーレクイン・スポットライト・プラス)

レインとジョニー・マックは小さな町で生まれた。レインは由緒あるノーブル家の一人娘として、そしてジョニー・マックは貧しい売春婦が産んだ私生児だった。ジョニー・マックはごろつきで、誰とでも寝たが、レインは特別だった。二人は惹かれ合っていたが、友人でしかなかった。だが、レインが生まれた時から自分のものだと思っていたケントは、父親が外に産ませたジョニー・マックに憎悪を募らせ、彼を葬り去ることを決意する。ジョニー・マックは6人の男に、痛めつけられて、死を予感したが、死にかけた彼を見つけて、助けたのはレインだった。回復すると、ジョニー・マックはこの町を捨てることを決意する。レインは一緒に行きたいと言ったが、先の見えない未来に彼女を連れて行くことなど、ジョニー・マックにはできなかった。
ジョニー・マックが町を出た後、ノーブル家の家政婦リリー・メイの娘シャロンがレインを訪ねて来る。シャロンは、ジョニー・マックの子供を堕胎したいから、費用を貸してくれと言った。レインは愛する男の子供が欲しかった。思案の末、レインは生まれた子供は引き取ると約束し、ケントのプロポーズを受け入れる。ケントは自分の子供を身籠ったというシャロンの嘘を信じ、結婚後、その子を養子に迎えた。ケントはグレアム家の跡取り息子で、外見は立派だったが、やがて、利己的で残忍な性格が顔を出した。ウィルが10歳になる頃、レインはケントの妻でいることがウィルのためにならないことを実感して離婚を決める。そして、ウィルが14歳になった時、爆弾は落とされた。死期を悟ったシャロンは、死ぬ前に真実を告白したのだ。ケントは激怒した。自分が大事に育ててきた息子が、よりによって、憎んでも憎み足りないジョニー・マックの子供だったとは。
そして、事件はレインの留守中に起きた。ノーブル家の庭で、ケントは撲殺され、傍らには茫然と立ち尽くすウィルがいた。レインは警察に電話をかけ、ウィルはリリー・メイと家にいたと答えたが、それによって、第一容疑者はレインとなった。ウィルはショックのために、その時の記憶を失ってしまっていた。
ジョニー・マックは、故郷を捨てた後、放浪罪で逮捕され、ブラウン判事と出会う。判事の助けを得て、ジョニー・マックは大学で学び、やがて、実業家として成功する。そして、15年前に捨てた故郷から、奇妙な手紙が届く。息子が困っている。帰れ。と書かれた手紙と共に、自分にそっくりな少年の写真と、ケントの殺人事件の記事が入っていた。
その謎を調べるためと、レインの窮地を救うために、二度と帰らないと決めていた故郷に、ジョニー・マックは帰ることを決意した。
ケントの母は、財力と権力を使って、レインを殺人罪で起訴させようとしていた。
ジョニー・マックは、レインが自分の息子を得るために、ろくでなしのケントと結婚したことを知って、愕然とする。正しい行いをしたと思っていたのは、間違いだったのか。
15年の間に、レインの愛は憎悪に変わっていた。レインは、愛する息子のためだけに、耐え続けていたのだ。だが、立派ではなかった過去を持つとはいえ、ウィルにはジョニー・マックを受け入れて欲しかった。
ジョニー・マックは、二人を守り、助けることを誓い、徐々に二人の心を溶かしていく。
忌まわしい過去が生んだ悲惨な事件は、3人の命を脅かした末、終焉を迎えた。ジョニー・マックは、レインに妻となってついて来て欲しいと言ったが、先祖代々の屋敷や生活の全てを捨てることに、レインは躊躇った。だが、ウィルに背中を押されたレインは、彼と共に生きることを決意する。


この作家の書く話は、すごく読み応えがあります。でも、近親相姦やら、DVやらが出てくるので、少し過激ですかね。