578 情熱の燃える島 アニー・ウエスト

情熱の燃える島 (ハーレクイン・ロマンス)

情熱の燃える島 (ハーレクイン・ロマンス)

コスタスは愛する娘のために、適合する骨髄を必要としていた。亡き妻の母親と双子だったクリスティーナは最後の頼みの綱だった。父親に背いて愛する男性と結婚したクリスティーナは、祖国を離れてオーストラリアに住んでいたため、コスタスは地球を半周して、彼女の家を訪れる。だが、家から出て来た女性は若く、亡き妻と瓜二つだった。
ソフィーは母の葬儀で疲れ果てていたが、訪れた男がアテネから来たことを知って激情にかられる。母は父親の許しを求めていたが、命の危機を告げても、連絡が来ることはなかった。私には、もう家族はいない。
しかし、コスタスは娘のためにソフィーが必要なのだと告げる。ソフィーは彼に同情を覚え、同行することを決めた。
コスタスはソフィーの温かさや優しさに惹かれていた。母親を失くした哀しみを抱えた彼女を誘惑などできる訳がない。だが、眠れない程に、彼はソフィーが欲しかった。
骨髄は適合し、エレニは一命を取り留めた。惹かれあうコスタスとソフィーは一夜だけの癒しとして、夜を共にする。ソフィーは愚かにも、コスタスとの絆を夢見たが、翌朝一人残されていたことから、コスタスの無言の言葉を受け取る。未来のない関係なのだ。
仕事から帰ったコスタスは、ソフィーの拒絶に驚愕した。彼女に間違った望みを抱かせないようにした措置が、彼女を傷つけたことにコスタスは愕然とした。だが、これでいいのだ。
翌朝、ソフィーは荷造りを済ませ、この地に別れを告げようとする。だが、航空便が遅れ、やがてコスタスがやって来る。彼はエレニがソフィーを必要としていると言った。愛してしまった、幼いエレニに背を向けることはできない。しかし、コスタスとソフィーが乗った車はが向かった先は、病院ではなかった。コスタスの屋敷の敷地内の車の中で、コスタスは話し始めた。
あまりにもソフィーに夢中なことを、自分で認めずに、自制心が崩れることをソフィーの罪にしてしまったと。これ以上ないほど愛しているのに、彼女を傷つけ、拒絶されて、初めて彼女なしに生きられないことに気付いたのだと。ソフィーの心の壁は崩れ、自分もコスタスを愛していることを明かし、永遠を誓った。


ソフィーは、母を拒み続けた祖父をも許した。ホントに優しい女性ですね。でも、亡き妻が産んだ、他の男の子供を愛するコスタスも凄いです。