587 美しすぎる億万長者 キャロル・マリネッリ

美しすぎる億万長者 (ハーレクイン・ロマンス)

美しすぎる億万長者 (ハーレクイン・ロマンス)

エーンズリーは、意義ある仕事と恋人から離れて、イギリスに来た。高名な医師の家で、住み込みのナニーの仕事に就いた後、恋人の借金を知らされ返済を求められる。訴えても仕方ない。クリスマスのボーナスを期待していたエーンズリーは、図らずも、雇用者の妻の浮気現場を目撃してしまい、陥れられる。盗みの嫌疑を受けて、クビになったエーンズリーは、絶望を感じていた。住む場所も、借金を返す当てもない。地下鉄のホームで途方に暮れるエーンズリーは、片隅で涙を流していたが、彼女に気を止める人は誰もいなかった。ふと、子供の泣き声を耳にして、善良な彼女は手助けを考える。
エリヤは事故で亡くなった妹の息子グイドを抱え、途方にくれていた。甥は愛しているが、どうすればいいのかわからない。誰も立ち止まろうとしないホームで、援助を申し出た女性に、彼は救いを求めた。彼女は熱のある子供に必要なものを知っていた。そして、主が居なくなった屋敷に一緒に行き、何も知らないエリヤを助け、グイドを寝かしつけてくれる。
エーンズリーが仕事を失ったことを知って、エリヤはしばらくナニーとして留まってくれるよう依頼した。
翌朝、ケースワーカーが訪れ、父親の親族がグイドの親権を求めていることを知り、エリヤは焦燥感を感じる。彼らは甥を愛している訳ではなく、財産を求めているだけだ。阻止するために、エリヤは、グイドに相応しい環境があることを証明しようと、エーンズリーを婚約者だと紹介する。
エーンズリーは危険な程魅力的なエリヤに惹かれていたが、末永く続く関係ではないことにも気づいていた。
エリヤは妹の事故に不穏なものを感じ、運転手と称してボディガードを雇い、エーンズリーにも尾行を手配していた。
元雇用主が離婚したことを知って、エーンズリーは彼らを心配し、訪ねたが、その写真はエリヤを激怒させる。アンガスと不倫していたと責められて、エーンズリーは弁解することもなく家を出て行った。
彼が、私を道徳心のない、金目当ての性悪女だと信じているなら、その通りにしてやる。エーンズリーはエリヤのカードで散財したが、虚しかった。諦めることを決めたエーンズリーは、ホテルをチェックアウトし、路上に出、見知らぬ男に襲われる。
エーンズリーの居ない、空っぽな家でエリヤは、彼女のために買った指輪を眺めながら、たとえエーンズリーが不倫していたとしても許すことができるかと、自分に問いかけていた。それほど、彼女が欲しかった。そして、アンガスが訪れ、彼らが浮気などしていなかったことを知る。衝撃はそれだけではなかった。エリヤは、エーンズリーに危険が迫っていることに気付いて、動揺する。エーンズリーは、エリヤが求める親権を得るための要だ。犯人たちが、エーンズリーを排除しようと考えても、無理はない。
病院で目覚めた時、エーンズリーは夢を見ているのかと疑った。エリヤがいる。戸惑うエーンズリーに、エリヤは事の顛末を話した。でも、エーンズリーは、彼が自分を疑ったことが許せなかった。
エリヤは、あの日、突然現れた天使が、理想の女性なんて奇跡が起こるなんて有り得ないと、自分を戒めていただけだったのだ。
エーンズリーは、自分のエリヤへの愛情より、彼の自分への愛が勝ることがある、とは思ってもみなかった。
月日が流れ、二人は夫婦となり、やがて親になろうとしていた。


どん底の二人は、ホームで出会い、恋に落ちて行く。疑り深い男と、善良な女性は、悩み、反発しながら、お互いの中に愛を見つけるという話。
クリスマスには奇跡が起こるという訳ですね。