451 偽りのハッピーエンド ジェニー・ルーカス

偽りのハッピーエンド (ハーレクイン・ロマンス)

偽りのハッピーエンド (ハーレクイン・ロマンス)

アンナは名家の令嬢だったが、家は貧乏で生活を他人に頼る有り様だった。知り合いであるヴィクトルの元で働き出したものの、彼の態度は不愉快でしかなかった。ニコスから引き抜きの話が来た時、アンナは迷わず彼の秘書になることを決意し、有能な手腕を発揮する。ニコスはアンナを信頼し、二人は様々な仕事を素晴らしいチームワークでこなして行った。しかし、ある夜打ちのめされたニコスはアンナに救いを求め、一夜を共にしてしまう。そのせいで、アンナは妊娠し、それを知ったニコスはアンナから仕事を取り上げ、屋敷に住まわせた。アンナの身体を心配したニコスは、アンナにかかってくる電話を禁止し、アンナは孤立する。新しく雇われた秘書は相談の名目でやって来たが、話の内容はニコスとの情事だった。私を幽閉して、彼は外で浮気をしている。耐えきれなくなったアンナは、屋敷から逃げ出し、転々と住まいを変えながら出産したが、やがて、妹の住む曾祖母の城に身を寄せた。ニコスは追って来た。憎しみに燃える残忍な瞳は、彼女に復讐を誓っていた。アンナは懇願し、ニコスは渋々同意する。今はまだ、息子に母親が必要だ。だが、乳離れしたら追い出すとニコスは言った。何とか共同親権を勝ち取りたい。残された手段はヴィクトルの助けしかなかった。アンナはヴィクトルに会いに行き、助けを必要としていることを話そうとするが、狡猾なヴィクトルは彼女をダンスに誘った。触られる不快感に耐えるアンナを見て、ニコスは激怒した。どんな男も彼女に触れることは許さない。アンナを自分のものにするため、ニコスは結婚を口にした。愛されていないのに、結婚などできる訳がない。アンナは断ったが、ニコスはアンナの自分への愛を利用しようと考えた。共同親権を餌に、ニコスは彼女の心を変えさせる努力を始めた。もはや、偽りでも愛を告白するしか方法はない。ニコスの愛の言葉を聞いて、アンナは歓喜し、結婚を承諾する。しかし、ニコスの胸には罪悪感が渦巻き、彼はアンナを手放すことを決めた。一夜明けて、冷淡になったニコスの姿に、アンナは落胆するが、息子のために顔を上げて立ち去ることにする。だが、一人になったアンナをヴィクトルは拉致し、ロシアに連れ去った。喪失感に苛まれるニコスを救ったのは、ナニーの言葉だった。彼女の幸せを祈る心が愛なのだ。迷いを捨て、ニコスはアンナを追った。ヴィクトルの手からアンナを救い出した時に、ニコスの目には、溢れんばかりの愛が輝いていた。


婚外子として生まれ、愛を知らずに育った男は、自分の中の愛に気付かなかった。結構、よくある話ですね。