556 パワー・プレイ ペニー・ジョーダン

パワー・プレイ (MIRA文庫)

パワー・プレイ (MIRA文庫)

サイモンは幼少時から父親からの性的虐待を受け、内に怒りを溜めていた。恋人だったティムと揉み合い、橋から落ちたティムが亡くなった時、ティムが執着していたレイチェルに責任転嫁して彼女に制裁を与えることを決めたのも、その怒りだった。弱みを利用して、リチャードとアレックスにレイチェルの誘拐を強要し、サイモンはルームメイトのマイルズのベットでレイチェルを強姦した。部屋に戻ったマイルズは、自分のベットに血だらけのレイチェルを見つけて、それがサイモンの仕業であることを確信する。マイルズは傷ついた身体を洗い、服を着せたが、目覚めたレイチェルは自分を見下ろすマイルズに気付くと悲鳴を上げて逃げ出した。
レイチェルは彼らに報復することを誓い、その力を得ることに邁進した。11年後、ペパーと名前を変えたレイチェルは全ての準備が整ったことを確信し、4人に手紙を送る。
呼び出された4人は、調べ上げられた自身の後ろ暗い過去と引き換えに、これまで築き上げてきたものを捨てるように言われて、動揺する。マイルズはサイモンの危険性がわかっていた。レイチェルに脅迫を止めさせなければ、彼女が危ない。
マイルズはあらゆる手段を使って、自分が彼女の恋人であることを示し、彼女を誘拐した。言葉の通じない異国の楽園に連れて行かれ、彼女はある夜祖母の声を聞く。祖母の声に導かれて、二人は愛をかわし、レイチェルは女としての自分を取り戻した。しかし、彼女には自身に忍び寄る危険の存在を信じることができなかった。
サイモンの妻エリザベスは、息子に対するサイモンの性的虐待に気付いて、身を隠していた。マイルズに説得されたエリザベスは、サイモンの悪行を吐露し、サイモンは失職する。裕福な実家からの贈り物だった屋敷から追い出され、何もかも失ったサイモンはレイチェルへの制裁を誓っていた。11年前、ティムがレイチェルを生贄にしようと計画していた祭壇に、サイモンは準備を整え、彼女を迎えに行く。
胸騒ぎを感じて、マイルズはレイチェルの元に急ぎ、レイチェルの友人の死体を見つける。近くでは、マイルズが雇ったボディガードも殺されていた。マイルズは囁く声を聞き、サイモンが凶行を計画する場所を探し当てる。零時を待って、彼女を殺す儀式を開始しようとしていたサイモンは、警官に射殺され、マイルズは彼女を固く抱きしめた。


母親の罪を背負わされて育った娘は、頑なで警戒心が強かった。悪魔教に陶酔する貴族の少年には、彼女が格好の生贄に見え、罠にかけようとする。だが、女に嫌悪感を抱く少年の恋人には、それさえ不快だった。そして、彼の全ての憎悪は、彼女に向けられる結果となる。
子供に罪はないけど、連鎖は起こるって話。自分次第で、幸せにも不幸にもなるってことね。