547 ひと月だけの恋人 サブリナ・フィリップス

ひと月だけの恋人 (ハーレクイン・ロマンス)

ひと月だけの恋人 (ハーレクイン・ロマンス)

ダンテは立ち寄ったレストランで、フェイの才能を見出し、手元で修業させることを決める。フェイはダンテの視線に気づいてはいたが、18歳の田舎娘にダンテのような素敵な男性が興味を持つはずはないと思っていた。しかし、ダンテが自分に惹かれていると感じた時、フェイは彼の前に身を投げ出し、自制心を失ったダンテはフェイの純潔を奪った。彼女に触れまいと誓っていたことを思い出したダンテは、バージンを取り引き手段に使おうとしたと彼女を責め、フェイの心は打ちのめされる。彼の傍には居られない。フェイはイギリスに逃げ帰り、友人のクリスとアメリカへの市場調査に加わった。父親が病に倒れ、家に戻ったフェイは、父亡き後、残されたレストランの経営に携わるが、もはや倒産寸前だった。どこに行っても融資を断られたフェイは、仕方なくダンテに面会を求めた。
ダンテは傲慢にも、一カ月傍で修業すれば、資金を出すと答えた。それは、一カ月間、愛人として過ごすという事だった。彼に蔑まれていることはわかっていても、愛する男と身体を重ねたいという欲望はフェイを苦しめた。店を立て直すために、フェイは今だけを楽しむことを自分に許したが、心の痛みは増すばかりだった。こんな事はもう続けられない。またしても、逃げ出したフェイは、もう一度銀行にかけ会い、融資を取りつけた。ダンテが出した金額を全額振り込み、フェイはレストランを再興させた。しかし、フェイは妊娠に気付く。彼はきっと罠にはめたと責めるに違いない。一人で育てることを決めたフェイは、輝かしいグランドオープンの日、テーブルでダンテを見つけ動揺する。ダンテは交わした契約通り、売上を渡せと言ったが、妊娠を知ると結婚すると告げた。拒絶するなら、子供を取り上げると言って。フェイの目には、子供と二人家に置き去りにされ、彼が外で楽しむ光景が見えるようだった。それでも、選択の余地はないのだ。
だが、翌朝、フェイは出血に気付く。部屋にやって来たダンテは恐怖に震え、彼女を病院に連れて行ったが、フェイは子供はいなくなったから、ダンテは自由だと言った。流産はしていなかった。だが、ダンテは今まで自分がフェイにしてきた仕打ちに気付き、罪悪感で居たたまれなくなった。彼女を自由にすべきだ。結婚はすべきでないと言う彼に、フェイは妻になりたいとは言えなかった。家で安静にしながら、フェイはトスカーナのダンテの家で子供を育てることが、自分の望みなのだと気付く。
フェイの様子を見に、やって来たダンテは、今まで彼女を誤解し、いわれのない非難を浴びせたことを詫びた。その言葉に、フェイは希望を見た。ダンテを愛している。フェイの愛の言葉を聞いて、ダンテも、出会った時恋に落ちていたことを明かし、改めてプロポーズした。


上辺と自分の経験だけで、全てを判断する男と、自分を守るために、すぐ逃げ出す女の話。