579 運命がほほえむ日 リンゼイ・アームストロング

運命がほほえむ日 (ハーレクイン・ロマンス)

運命がほほえむ日 (ハーレクイン・ロマンス)

休暇から戻ったアレックスは、通訳の面接がすぐにあると告げられて、驚く。会社にとって、重要なチャンスだと言われて、渋々オフィスを訪れたアレックスは、先方が自分に不満を感じたことを察した。外見を改善して欲しいと仄めかされて、アレックスは怒りを感じたが、彼を見返してやりたいという気持ちから承諾する。
頭からつま先まで、磨き上げたアレックスは、依頼主であるマックスの秘書から勧められた衣装で、指示されたパーティ会場に行くと、マックスはアレックスを見るなり、秘書に批難の言葉を上げる。マックスは、アレックスに魅了された。だが、必要なのは上品で有能な通訳であって、パーティの華ではない。
マックスは昔の恋人キャシーが、自分の息子を産んでいたことを、最近知らされた。キャシーは母親に育児を助けて貰っていたが、その母が病に倒れ、看病に専念するために息子ニッキーを預かって欲しいと言って来たのだ。修道院で育ったアレックスは、寂しい子供に馴れており、ニッキーはすぐにアレックスになつき、成り行き上、アレックスはナニーも務めることとなった。マックスはアレックスへの想いを封じ込め、彼女が送るサインを無視しようとする。ニッキーのために、マックスとキャシーが結婚することが最善だと、誰もが考えていた。何よりも、ニッキーの幸せを考えなくてはいけないのだ。そして、母の葬儀を終えたキャシーが、マックスの家に滞在することが決まる。
もう、自分の役目は終わったのだ。アレックスはマックスから紹介された仕事を受け、充実した日々を過ごしたが、マックスを忘れることはできなかった。4か月が過ぎた頃、公園で犬を散歩させていたアレックスは、やって来たマックスに気付いて動揺する。当たり障りない話をして、別れた後、アレックスはマックスの居ない生活は地獄だと痛感させられた。彼の身に、何かあったに違いない。居ても立っても居られなくなったアレックスは、彼の家を訪ねるが、マックスは留守だった。マックスを捜し回って、とぼとぼ歩くアレックスを見つけ、マックスは彼女を家に連れて行った。
キャシーはそれまでの独身主義を返上して、マックスの愛を取り戻そうとしたが、マックスの心はアレックスに奪われていた。アレックスが出て行った後で、マックスはアレックスなしに生きられないことを知ったのだ。だが、他の女性との子供がいる男など、彼女に相応しいとは思えなかった。それでも、アレックスを忘れられなかったマックスはアレックスに会いにいったのだ。そして、二人の仲は終わったと思い知らされた。
アレックスは自分を隠す術を、身につけていただけだったのだ。二人はやっとお互いが愛し合っていることに気付き、結婚を誓った。


若くして両親を失ったアレックスは、遠縁の女性に引き取られたが、大切な人を失くす恐怖から、容易に打ち解けない性格になった。しかし、恋は理屈ではなく、突然訪れる。相手を思うあまりに、自分の心を明かすことができずにいた二人。もしも、この時ハッピーエンドを迎えなくても、いつかはこうなっていたでしょうねと思います。