528 闇の狩人 ジェイン・アン・クレンツ

闇の狩人 (ハーレクイン・アフロディーテ)

闇の狩人 (ハーレクイン・アフロディーテ)

両親が望む娘にはなれそうもないことに気付いたオナーは、家を離れて仕事を見つける。交際を始めたニックの出張に同行することが決まった時、オナーはわくわくした。しかし、一人でいたホテルに顧客から電話を受けたオナーは、それを知らせるためにオフィスに出かけ、聞いてはいけない話を聞いてしまう。レオとニックは武器の密輸をしていたのだ。慌てて逃げ出したオナーは、メキシコに身を潜めることを決めたが、それからどうすればよいのかわからなかった。
ジャドはオナーの父と兄と名乗る男たちに、オナーを連れ戻して欲しいと依頼される。甘やかされて、精神的におかしいと言う女性を捜し回って、ジャドは次第に変な気分になって来るのを感じた。家出した妻を捜していると話しながら、実際に彼女が妻だったらと考え始めてしまったのだ。次第に、ジャドは可笑しな所有欲を感じ、うらぶれた居酒屋で彼女を見つけた時、戸惑う。彼女は冷静なジャドを、怒らせ、自制心を失わせる。オナーは必死だった。ニックたちと同額の金をちらつかせ、挙句は銃で自由を勝ち取ろうと試みるが、全ては徒労に終わった。オナーは懇願して、二日だけ出発を延ばすことを彼に約束させ、その間に彼を説得しようと試みる。メキシコに逃げ込んだ経緯を、ジャドは笑い飛ばした。そんな途方もない話は信じられない。だが、ジャドはもう少し彼女といたいという気持ちに抗えず、もう二日出発を延ばした。四日目の夜、二人の間の情熱は過熱し、ジャドはオナーを奪った。深く結びついた喜びに、オナーはジャドが自分を信頼してくれると期待したが、翌朝ひどく落胆することになる。ジャドはオナーを守ると言ったが、オナーの言葉を信じてはいなかった。真実を知った時には、二人とも命はないとオナーは恐怖に怯えた。給油ポイントでレオに電話をかけたジャドは、罠を仕掛けレオが嘘をついていることを確信する。ジャドはオナーを連邦捜査局に連れて行った。オナーは何の証拠も持っていなかったが、捜査官はその情報を喜んだ。オナーを迎えに来たレオはその場で逮捕され、倉庫からは大量の銃が見つかってオナーは自由になった。
ジャドはオナーをどこかに休養に連れて行き、親密になることを楽しみにしていたが、オナーに拒絶され茫然となった。感謝はしているが、自分を信じない男性とはどこにも行くつもりはない。立ち去ったオナーをジャドは追った。彼女は俺のものだ。
家に帰り着いたオナーは以前の生活を取り戻そうとし、友人と食事に出かけた。会話を楽しみ、ダンスに興じていたオナーは、自分を見つめるジャドに気付く。ジャドは他の男性に抱かれるオナーを見て怒りを滾らせていた。オナーは即座に逃げ出すことを決め、荷造りをしてドアを飛び出すが、遅かった。ジャドは抵抗するオナーの手首を縛り担いで拉致し、そのまま自分の家へ連れて行った。どんな事をしてでも彼女を傍に置いておくのだ。ジャドは必死に努力し、オナーは彼に同情を覚えた。彼にチャンスをあげよう。自分に与えられたのと同じ四日間を、オナーはジャドに与えた。だが、4日目の夜、ドアを開けると、そこにニックが銃を手に待っていた。ニックは多額の報酬と引き換えに、自分の逃亡の手助けとオナーを望んだ。銃を突きつけられて操縦席に座ったジャドは、この時初めてオナーが自分に求めた全幅の信頼の意味を理解する。彼女に信じて欲しい。だが、説明している時間はなかった。空高く飛び立ったセスナは、墜落を始め、ジャドは銃を手放すことをニックに要求し、恐怖にかられたニックはオナーに銃を渡した。オナーはやっと理解した。この口数の少ない男は私を愛しているのだ。そして、私も彼を愛している。


熱い男の話です。凶暴で冷酷なのに優しい。拉致され、誘拐され、激しく奪われる。素敵ですねーーー!