481 はじまりは嘘でも カーリー・フィリップス

はじまりは嘘でも (ハーレクイン・アフロディーテ)

はじまりは嘘でも (ハーレクイン・アフロディーテ)

捜査中の銃撃戦で、少年が命を落としたのはケインの落ち度ではなかったが、彼は動揺した。休暇を取るように言われたケインは拒絶し、簡単な捜査を依頼された。売春組織の隠れ蓑だと思われる社交術を教えるスクールに向かったケインは、窓越しに素晴らしいプロポーションのセクシーな美女に目を奪われた。
カイラは昔から、男たちの無神経な視線に晒されて来たおかげで、ひどく慎重な性格だった。聡明だった彼女は、図書館で本に囲まれていることが救いだったが、伯母夫婦の突然の死で、自分の勉学を諦め、伯母の残した事業を復興させることを決意していた。現れたケインに、カイラは茫然とする。彼はレッスンが必要なようには見えない。しかし、ケインはカイラにデートのレッスンを依頼した。彼にかき立てられた気持ちは、カイラには馴染みのないものだったが、カイラは彼の依頼を受けた。本当のデートではない。だが、ケインは切実に彼女を欲しいと願ってしまう。自分の欲望に負けたら、捜査は暗礁に乗り上げてしまうかもしれない。そう思いつつも、ケインは彼女を求めてしまう。翌朝、ケインは身支度をするカイラの気配に目覚めた。彼女の無実を証明するには必要なことだと、ケインは札束をカイラに差し出した。カイラはケインを罵り出て行った。ケインは彼女を傷つけてしまったことに、罪悪感を覚えたが、安堵も感じていた。彼女は潔白だ。しかし、オフィスに戻ったカイラは、暴漢に襲われる。男はカイラが金を隠していると脅迫した。窮地を間一髪で潜り抜けたカイラは警察を呼ぶが、やって来たケインに驚き、彼が刑事であることを知る。ケインは自分を利用しただけだった。落胆したカイラはケインを遠ざけようとするが、危険が去った訳ではないとケインはカイラの家に張り込んだ。カイラはケインが欲しかった。二人に未来があるなら、この手で掴み取りたい。しかし、ケインはカイラを手放すつもりでいることを明らかにする。罪悪感から傍にいて欲しくはない。彼に自由を与えたい。カイラはケインに何も望んでいないと告げた。ケインはカイラの元に留まりたいと願ってはいたが、自分には相応しくないと思い込んでいた。事件は解決し、犯人は逮捕され、ケインはカイラの元を去って行った。数日後、ケインは悟った。永遠にカイラの傍で暮らしたい。心の闇を追い払って、ケインはカイラの家に向かった。ずっと言うことのできなかった愛の言葉を口にするために。


外見とは裏腹な、無垢で繊細な女と、タフなナイスガイの恋の話。感情を忘れていた男に自制心を失わせ、窮地に追い込む女。楽しく読めました。