461 女相続人ケイシー シャロン・サラ

女相続人ケイシー (ハーレクイン文庫)

女相続人ケイシー (ハーレクイン文庫)

両親亡き後、ケイシーは祖父から経営を学び、一族の後継者として育てられた。しかし、祖父の遺言を聞いた時、ケイシーは凍りついた。48時間以内に結婚しないと、遺産相続することができないというのだ。祖父が家柄の良い顧問弁護士のラッシュと結婚させたがっていた事はわかっていた。そして誰もが、ケイシーには男性の知り合いがラッシュ意外にいないことを知っていた。ケイシーは絶望を感じながらも、ダウンタウンの酒場に足を踏み込んだ。そして、共に悪魔に立ち向かってくれる男なら、誰でも一年間の期限つきで妻になると宣言する。ライダーはケイシーの絶望を感じ取った。彼自身も、自分が原因で敬愛する父を死なせてしまったことで、全てを捨てて逃げ出してきた人間だった。ぼろぼろの衣服を纏った無頼漢を見ても、ケイシーはひるまなかった。ライダーの承諾を得ると、ケイシーは一族の名前を使って結婚許可証を手に入れ、判事を叩き起し、朝日が昇る前に妻となった。朝になって夫と共に帰って来たケイシーを認めて、ラッシュは自分の計画が壊れたことを知る。ラッシュは、ケイシーの財産で先祖伝来の屋敷を修復するつもりでいたのだ。一昔前には荘厳だった屋敷に一人で住むラッシュには、家政婦を雇う金さえもなかった。ケイシーを愛していると信じながらも、ケイシーとライダーに対する憎悪は日増しに膨れて行った。ケイシーは一年間、便宜的に夫婦でいるつもりでいたが、ライダーを知るにつれて、彼に惹かれて行く。ケイシーが仕事で旅立った時、ライダーは言いようのない不安に苛まれた。そして、ライダーは彼女が乗ると言っていた便が墜落したと知った時、ケイシーに愛を告白しなかったことを、悔んだ。渋滞に巻き込まれて、遅れ、次の便で帰り着いたケイシーに、ライダーは本物の結婚にしたいと告げる。ケイシーは迷わずにライダーの胸に飛び込んだ。しかし、自分のことを何も話そうとしないライダーの態度に、ケイシーは探偵を雇うことを決意する。だが、報告書は開かれる前に、ライダーに見つかり、激怒したライダーは車で走り去った。後悔に苛まれるケイシーの元に一本の電話がかかって来る。ライダーの車が事故と聞いて、ケイシーは慌てて現地に向かい、そこで誘拐されてしまう。誘拐したのは、ラッシュだった。ラッシュは管理を任された老婦人の財産を流用して、チンピラを二人雇い、身代金と、ケイシーの命を奪うつもりでいた。ライダーは冷静に考える時間が欲しかっただけだった。考えをまとめ、戻って来たライダーは、ケイシーの誘拐に気付いて茫然となった。彼女なしでは生きていけない。ライダーは連絡を絶っていた兄弟に、助けを求めた。私立探偵をするローマンは、捜査を開始し、ラッシュに目を付ける。FBIは車に残った指紋からチンピラの一人を割り出し、ラッシュの不用意な言葉から、彼が犯人であることが判明する。身代金は地下からまんまと運び出され、ケイシーの居所は掴めなかった。ローマンはライダーのヘリを用意していた。ライダーは父を亡くして以来、握っていなかった操縦かんを操作して、ラッシュの車を追った。ラッシュは隠れ家に着くなり、二人のチンピラを撃ち殺して、ケイシーにも銃を向ける。ケイシーは反撃するが、気を失い、ラッシュの血に汚される。飛び込んで来たライダーは、血にまみれて倒れているケイシーを見て、平常心を失い、全ての銃弾をラッシュの身体に浴びせた。喪失感で一杯だったライダーは、ケイシーの脈動を認めて、もう一度チャンスを与えられたことを知る。危機は去り、二人はお互いと平穏を手にした。


愛する父を、自分の運転する機で死なせてしまったという罪悪感と喪失感。その心の闇を、ケイシーは癒し、愛で埋めていくが、それを妬む男に壊されそうになる。波乱万丈ながらも、運のいい女なんでしょうね。