565 捨てたはずの愛 ヘレン・ビアンチン

捨てたはずの愛 (ハーレクイン・ロマンス)

捨てたはずの愛 (ハーレクイン・ロマンス)

シャネイはマルチェロと出会い、恋に落ちる。結婚を決めた二人はイタリアでの生活を始めるが、マルチェロの一族はシャネイを歓迎しなかった。一族の後継ぎに値しない嫁だと彼らは判断し、シャネイを排除するため策略を巡らす。シャネイは心を打ち砕かれ、自国に逃げ帰った。身を隠し、仕事を見つけたシャネイは、やがて妊娠に気付く。マルチェロの反応を恐れて、シャネイは一人で娘を産み、育てることを決める。
だが、娘と出かけたカーニバルで、シャネイはマルチェロの弟夫婦と遭遇してしまう。子供がいることを知った時の、マルチェロの報復を考えて、シャネイは恐怖に震えた。
やって来たマルチェロは、ただ一人シャネイを受け入れてくれた祖父ラモンが余命幾ばくもないことを知らせ、彼が曾孫に会いたがっていると告げる。シャネイに相談なく、ニッキに父親だと暴露しないことを約束させて、母娘はイタリアに旅立った。
マルチェロは復讐を願っていた。自分の言葉を信じずに、家を出て行き、娘との数年を奪った女。だが、それは簡単ではなかった。
ニッキは愛らしく、絆は鮮明だった。そして、娘を守ろうとするシャネイの勇気は尊敬されるものだ。シャネイとマルチェロを捕える情熱は、今も健在であり、シャネイは必死で抗おうとするが敗北する。確かに、彼の妻でいれば、有り余る資産に囲まれ、肉体的にも満たされる。だが、シャネイが唯一欲しいものは、彼の心だった。それなしに、結婚を続ける意味はない。
やがて、ラモンは息を引き取り、ニッキは莫大な遺産の相続人となった。
悶々とするシャネイはニッキを遊園地に連れて行き、ニッキは誘拐される。ボディガードは銃を突きつけられて、車に閉じ込められでも冷静さを失わず対処し、迅速に行動した警察によって犯人は逮捕される。マルチェロは警護を増やすと提案するが、幼い娘が警護なしにどこにも行けない生活に、シャネイは危惧する。もしも、彼が自分を掛替えの無い存在だと認めてくれるなら留まることはできる。
バースに帰ると言い出したシャネイに、マルチェロは何も言わなかった。やはり、私はその程度の存在なのだ。落胆を感じてシャネイは元の生活に戻り、離婚手続きを始める。だが、しばらくしてシャネイは妊娠に気付く。自分の愚かさを呪いながら、シャネイは決断することができなかった。マルチェロは毎晩ニッキに電話をかけ、娘は父親を完全に受け入れていた。ニッキはマルチェロに母親の体調が悪いことを話し、マルチェロはシャネイに妊娠しているのかと問いただす。言葉を濁すシャネイに業を煮やして、マルチェロはイタリアからやって来た。マルチェロは無理やりシャネイを車に押し込め、ホテルに連れて行った。そして、初めて本心を明かした。マルチェロはシャネイとニッキが去った後、食事も睡眠も奪われ、地獄を味わった。自分の心を奪った彼女を取り戻すために、バースに住む決意もした。そして、彼女に愛していると告げる。ずっと傍にいてくれと。シャネイはマルチェロにキスをして、「いいわ」と答えた。


家柄も金もセックスも、彼女には重要でない。それがわかってて、愛してるって言わない男って馬鹿なの?