534 完璧な嘘 ダイナ・マコール

完璧な嘘 (MIRA文庫)

完璧な嘘 (MIRA文庫)

デクリンは孫は欲しかったが、婿は要らなかった。デクリンから結婚するなら、財産は渡さないと告げられたフェリシティはジョーナに堕胎したと嘘をつき、彼を追いやった。
ジョーナは傷ついた想いを隠して、仕事に打ち込んだ。しがらみのない彼にとって、潜入捜査は格好の仕事だった。麻薬王カルデロンが大統領の暗殺を企んでいる。情報を得たCIAは、ジョーナを潜入させ、その企みを阻止させ、その過程でジョーナはカルデロンの息子を彼の目の前で射殺する。復讐を誓ったカルデロンは情報提供者からジョーナの素情を手に入れ、デクリンの屋敷からジョーナの息子エヴァンを拉致する。
フェリシティの妹メイシーは、ジョーナを探し出し、彼に事情を話した。ジョーナは自分さえ知らなかった息子の存在と、自分の素情をカルデロンが知っていたことに疑問を持ち、内部に裏切り者がいることを確信する。フェリシティは射殺され、デクリンも撃たれて重傷を負い、エヴァンの行方は知れず、FBIは身代金の請求をただ待つだけだったが、ジョーナの登場で怨恨であることがはっきりする。カルデロンはジョーナの目の前でエヴァンを殺すことを望んでいる。捜査が全く進展しないことに苛立ち、ジョーナは囮になることを決め、自ら敵地に乗り込んで行った。だが、エヴァンは無事ではあったが、傷は化膿し危険な状態だった。
カルデロンは情婦の助けを借りて、まんまと刑務所から脱獄に成功し、父子を監禁する場所にやって来た。ジョーナは躊躇うことなく彼らを制圧し、FBIの援助を得てエヴァンを脱出させた。乗せられたヘリの中で、ジョーナの親友として紹介された男の声にエヴァンは衝撃を受ける。その声は、監禁されていた小屋で聴いた声だった。エヴァンが愛言葉を言う前に、そのことに気付いたジョーナは愕然となった。ヤツを逃がす訳にいかない。ジョーナの問いに、彼は金のためだと言い、別のヘリで逃走しようとするが、銃弾を受けた身では海に落ちて行くしかなかった。


メイシーは12歳の時、姉の恋人に憧れていた。15年を経て、再び出会った時、メイシーは彼に恋した。ジョーナはデクリンの仕打ちが許せなかったが、大人になったメイシーに惹かれる気持ちに戸惑い、やがて、彼女こそ正しい相手であることに気付く。
嘘をついた報いは、自分に返って来るという深い話です。