462 雨にぬれた天使 ジュリア・ジェイムズ

雨に濡れた天使 (ハーレクイン・ロマンス)

雨に濡れた天使 (ハーレクイン・ロマンス)

リサは事故で両親を亡くし、妹ライラは足に重傷を負う。無傷だったリサは、ライラの足の手術の費用を貯めるために、昼間は派遣社員として働き、夜は場末のカジノでホステスをしていた。姉妹がアルマンと知り合ったのは、通院先の病院だった。アルマンは度々、姉妹を訪ねるようになった。そして、アルマンは兄グザヴィエに結婚したい女性ができたとメールを送る。以前、強欲な女に騙されたことのある弟を、グザヴィエは心配して調査をさせたが、結果は好ましいものではなかった。グザヴィエは、偶然を装ってリサの勤めるカジノに行き、間近でリサを見、厚化粧の下品な姿に嫌悪する。しかし、店の外でバスを待つリサを見た時、アルマンが惹かれた理由を知った。素顔のリサは美しかった。彼女が欲しい。グザヴィエは弟の恋人に、恋してしまったことに気付いた。リサもまた、グザヴィエに惹かれていたが、今は自分の幸せなど、考えることはできなかった。だが、アルマンがアメリカでライラの手術の手配を済ませ、二人がアメリカに旅立ってしまうと、リサはグザヴィエを思い出さずにいられなかった。リサから障害がなくなったと電話を貰った時、グザヴィエはアルマンとの破局を想像し、即座に彼女の部屋を訪れた。まっすぐ胸に飛び込んで来たリサを抱きしめ、グザヴィエは彼女は自分のものだと確信する。休暇を取り、誰も連れて行ったことのないコテージで、グザヴィエはリサとの時間を楽しんだ。しかし、アルマンからリサの携帯にかかってきた電話を聞いてしまったグザヴィエは、茫然となった。リサは自分たち兄弟を手玉に取ろうとしていたのだ。激怒して攻め立てるグザヴィエの言葉に、リサは真実に気付く。彼は弟を守るために、私に近付いただけだったのだ。幸せは幻想で、全ては偽りだった。傷ついたリサは弁明することなく帰途に着き、すべきことだけに集中しようと感情を切り捨てた。やがて、母から弟が結婚すると知らせが入り、グザヴィエは驚く。この結婚は阻止しなければいけない。慌てて、母の家に急いだグザヴィエは、アルマンの隣に立つ女性に唖然となった。花嫁はリサではなかった。ライラの足の手術は成功し、少しづつ歩くことができるようになっていた。リサは、このライラの幸せを、誰にも邪魔させないと気丈にふるまった。アルマンの口から、リサの苦境と、これまでの苦労を知らされて、グザヴィエは呆然とするばかりだった。彼女と話をしなくてはいけない。しかし、リサは嫌悪感を露わにし、彼を拒絶した。チャンスを与えてくれたのは、アルマンとライラだった。グザヴィエは自分がした誤解の報復を受けた。リサは彼を憎み、怒りを継続させようとしたが、上手くいかなかった。その先を考えたくない。リサはグザヴィエの行動に理解を示して、立ち去ろうとしたが、グザヴィエは行く手を遮った。心に理屈は通じない。グザヴィエは、自分の胸にリサの手を当てて、自分の心はリサのものだと言った。愛していると。リサはこれまで自分の幸せを考えることを禁止してきた。期待など無駄なだけだ。だが、ライラの足が回復し、幸せを得た今なら許される。リサは、グザヴィエを許し、自身も愛を告白した。


一瞬で破壊された家庭。車いすの妹を世話しながら、リサは五体満足の自分に罪悪感を感じていた。手術代を稼ぐために、疲労困憊の彼女の前に、夢のように素敵な男性が現れ、彼女は束の間の幸せを自分に許す。だが、期待はしないと自分に言い聞かせるものの、心は手遅れだった。この方の作品は、ロマンチックですね。