360 失われた自画像 シャーロット・ヴェイル・アレン

[rakuten:surugaya-a-too:10390099:detail]スノーは一分の隙もない母を疎ましく思いながらも愛していた。息が詰まりそうな母の愛に窒息しそうで、スノーは母の目が届かない所で自虐的な行動を散々した後、母から離れることを決める。一人暮らしで大学に通い、卒業後は写真家となったスノーは、母を傷つけないよう、定期的に家には帰っていた。それでも内面の葛藤は静まらず、妻子ある男性としか交際はしなかった。束縛されたくない。それだけがスノーの望みだった。ある日、母の心臓発作の知らせを聞いて、病院に行ったスノーは母からとんでもない話を聞かされる。母は赤ん坊だったスノーを誘拐したと言うのだ。驚愕するスノーは信じられなかったが、母はそのまま亡くなってしまった。したためられた手紙には誘拐劇の全てが書かれており、事実だという証拠も見つかる。スノーは親友の力を借りて、実の親探しと、母親だと信じていたアン・クックという女性の素情と犯罪を犯すまでの経緯を知るため、捜査を始める。図書館で当時の記事を見つけた二人は、スノーの実名と、両親の名前を探し当てた。スノーと実母と再会した時、母子は完璧に血の繋がりを確信する。しかし、アンについては八方塞のようだった。アンは改名しており、改名する前に名乗ったエイミーという女性は、18歳で亡くなっていた。墓地で見つけた自分と同じ年頃の女性の名前で証明書を取り、別の人間になりすますことを繰り返してきた女。それが、アン・クックだった。スノーは自分が何者であるかを、悩み、怒り、悲しみながら、自分自身を学んで行く。


HQには珍しくラブストーリーではありません。セックスだけが目的で一年以上付き合ってきた既婚者マーク、愛さずにはいられない素敵な娘を持つ男やもめジョゼフ、20も年上の美男のダン。三人の男性との可能性を探りながら、最終的にどんな結末を迎えたのかは書かれていません。アン・クックの謎についても解明されないまま物語は終わります。怒りと不満を貯め込んだまま大人になってしまったスノーの葛藤と心の動きで終始します。読み始めたら途中下車など考えられなくなります。