596 ボディガードは眠らない マリー・フェラレーラ

ボディガードは眠らない (ハーレクイン・スポットライト・プラス)

ボディガードは眠らない (ハーレクイン・スポットライト・プラス)

サーシャは婚約者を立体駐車場で亡くした。車を止めた場所まで歩きながら、ふと、それが甦り不安になる。ある日、それは現実となり、ほんのちょっと前に一緒に働いていた看護婦が殺されているのを発見する。既に死んでいることは、わかってはいたが、サーシャは心肺蘇生法を試みた。通報を受けたトニーは、サーシャに事情徴収をし、妻が死んで以来、初めて女性に興味を覚える。
そしてまた、一人の看護婦が同じ場所で殺される。それから数日たって、今度は雑役夫が病院内で殺された。いずれも、額に銃痕があり、「患者に害をなすなかれ」と印刷された紙を握っていた。
手掛かりは全くなかった。そんなある日、もう一件、殺人事件が起こる。一人の麻酔医が殺され、同じ紙を握っていたが、サーシャの務める病院の医師ではなかった。だが、その男の名前を聞いて、サーシャは3年前の事を思い出した。ひき逃げされた妊婦が担ぎ込まれ、緊急を要する事態だったために、その場にいた人間が処置にあたったのだ。それは殺された4人とサーシャだった。トニーはサーシャに警護をつけ、死んだ妊婦の夫のアリバイを調べたが、大学教授のその男には完璧なアリバイがあった。誰かに依頼した可能性もある。トニーは経済状態を調べる処置を取ったが、漠然とした不安を感じていた。
サーシャはトニーの送迎を受け入れていたが、急な陣痛に呼び出され、分娩を終えた時、自立心が頭をもたげた。多分、一人で帰っても大丈夫だ。車を止めた立体駐車場に、サーシャは一人で向かったが、そこには彼女を待っていた男がいた。妊婦の父親だった。彼は娘が死んだのは、その場にいた病院関係者のせいだと恨んでいた。彼はサーシャに銃を突きつけ、4人の死者に握らせたのと同じ紙を、彼女に手渡そうとした。サーシャは重い医療鞄を彼にぶつけ、逃げた。
トニーは、妻を失くした時と同じ不安を感じて、車を立体駐車場に乗り入れ、サーシャを見つける。男はトニーの話に、耳を貸さず、サーシャに銃を向け、トニーに射殺された。
事件は解決し、危険は去った。トニーは、この素晴らしい女性に自分が相応しくないと分かってはいたが、微かな希望を抱いていた。もうボディガードはいらないという彼の言葉に、サーシャは必要かもしれないと答え、トニーは、しばらくの警護を申し出る。そして、サーシャの不満の呟きに、期間は一生にすると、心に呟いた。


愛する自慢の娘が死んだ時、彼はその怒りのはけ口を求めた。ひき逃げ犯は捕まらず、結婚に破綻していたため、夫はすぐに忘れてしまった。彼は3年の間、時期を待ち、復讐を開始する。
怖い話ですよねぇ。