645 見知らぬあなた リンダ・ハワード

見知らぬあなた (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

見知らぬあなた (二見文庫―ザ・ミステリ・コレクション)

ブルームーン

事件が起きそうだと聞かされて、現地に赴いたジャクソンは、ライラと出会う。そして、ライラはジャクソンが自分のただ一人の生涯の恋人であることに気付いてしまう。犯人は逃げ出すついでに、ジャクソンが乗ってきたボートとライラのボートを盗み出し、近づく嵐のせいで救援も呼べなくなる。
ライラは求められるまま、自身を捧げるが、自分の能力を知った時のジャクソンの反応を恐れていた。
やがて、ライラの予言通り、犯人が死体で見つかった時、ジャクソンはライラの身を案じ、彼女を愛していることに気付く。


夢のほとり

シーアは夜な夜な見る官能的な夢に、憔悴していた。時代も名前も違うのに、いつもその女性はシーアであり、相手も同じ男性だった。そして、その男性に殺される夢を見た後、シーアは極度に水を恐れるようになる。子供の頃、よく訪れたコテージが夢に現れた時、シーアは夢を追い払うために、休暇を取りコテージに滞在することを決める。
コテージに着いたシーアは、隣のキャビンに滞在する男性が、夢の男性とそっくりであることを知って慄いた。
リチャードは永い事、シーアを待っていた。愛し合いながら、成就することのなかった二人が転生するのは、今回が12回目だった。いつも敵同士だった二人の関係は、現在では、ただの男と女であり、今回が最後のチャンスであることに二人は気付いていた。
リチャードは、お互いへの信頼が必要だと言ったが、詳しい説明はしなかった。
身籠った子供ともども、彼に水に引きずり込まれる夢を見たシーアは、リチャードから逃げようとし、水に落ちてしまう。
衣服が引っ掛かって水没したシーアは、もがきながら彼を信じようと決め、運命を彼にゆだねる。リチャードはシーアの縛めを外し、水から引き上げ、過去の失敗を繰り返すことが避けられる。
二人は狂ったように抱き合い、やっとお互いを手に入れたことを知った。


白の訪問者

人里離れた土地で、貸しキャビンを経営するホープは、吹雪の中、助けを求めて現れた男を家に入れ、介抱する。凍えきった男を温めるために、ホープは自分の体温を使ったが、朦朧とする男に組み伏せられ、抵抗する間もなく貫かれていた。
夫が亡くなって5年、ホープは自分が飢えていたことにも気付いていなかったが、身体は嬉々として彼に応じていた。
素性も知らない相手なのに、欲しかった子供を授かるチャンスを喜ぶ自分に、ホープは罪悪感を覚える。
男は目覚めると、保安官助手のブライスと名乗った。
だが、ホープは彼が着ていた制服のサイズが小さいことに気付いて疑問を持つ。ラジオから護送中の犯罪者が逃げ出したことを知ったホープは、ますますブライスに疑惑を感じていく。
逃亡犯の一人クリントンが拳銃片手に乗り込んで来るが、ブライスが取り押さえ、縛りあげた。クリントンは、ホープに自分こそが保安官助手で、ブライスが逃亡犯なのだと言った。
確かに、あの制服はクリントンにぴったりのサイズだ。
ホープはライフルをブライスに突きつけ、クリントンと同じように縛りつけ、電話の復旧を待った。
やがて、電話線が通じて、保安官事務所に電話したホープは、自分の判断が間違っていなかったことを喜んだ。
ブライスこそ自分の伴侶となる男性だ。二人は愛を告白し合い、結婚を決めた後、子作りを開始した。


短編なので、随分強引に話を進めていますね。過激でホットなのはいつも通りなので、楽しめるかも・・・。