569 モスクワの夜は熱く ジェニー・ルーカス

モスクワの夜は熱く (ハーレクイン・ロマンス)

モスクワの夜は熱く (ハーレクイン・ロマンス)

グレースは泥だらけになった自分を優しく気遣う男が誰か気付いて驚いた。ボスのアランに仕事と恋人を奪われたマクシムだ。だが、蔑ろにされることに馴れたグレースには、それが居心地悪い以上に幸せな事だった。
マクシムは秘書であるグレースを誘惑して、奪われたものを全て取り戻すつもりだった。しかし、化粧気のない地味な外見の中に、美しさを認めて、彼女への欲望が燃え上がる。次第に、誠実で疑うことを知らない無垢な魂に惹かれ、マクシムは選択を迫られる。そして、彼はグレースを選んだ。
グレースはロシアのプリンスであるマクシムが自分を欲していることを知って、幸福感に満たされる。夢のような数日が過ぎた時、グレースはアランに解雇された。アランはグレースがマクシムに情報を漏らし、そのために、婚約者と契約が失われたと非難する。マクシムがそんなことをするはずがない。だが、彼の元に向かったグレースは、そこで寄り添うマクシムとフランセスカを見て、自分が利用されたことを悟った。仕事も住む所もなくなった。母親の待つ家に戻ったグレースは、さらなる困難に気付く。妊娠している。
マクシムは、フランセスカが自分との結婚を勝ち取るために巡らした策略を知っていたが、グレースのために諦めていた。それでも、フランセスカが契約を携えて戻って来た時、その契約を取り結ぶことに躊躇はなかった。マクシムはそのことでグレースが解雇され、家を叩き出されたことを知って、直ちに彼女を追った。だが、グレースはマクシムの言葉も聞かず、彼を罵り追い出そうとする。マクシムは彼女の態度に落胆するが、彼女がポケットから落とした妊娠検査薬に気付いて激怒した。彼女に罰を与えなくてはならない。マクシムはグレースを脅して、即座に結婚し、凍りつくモスクワに置き去りにした。囚われの身になったグレースは、使用人に囲まれながら、失ってしまったものに想いを馳せた。彼を許し、もう一度やり直したい。しかし、頭からマクシムが有罪だと決めつける彼女の言葉は、さらに彼の怒りを買った。結婚披露パーティを行うと聞かされ、そこにフランセスカも招待されていることを知った時、グレースは焦がれる程の嫉妬を感じた。フランセスカの言葉から、マクシムが自分を裏切っていなかったことを知ったグレースは後悔に苛まれ、何とか彼の怒りを解く道はないかと謝罪と愛を口にする。だが、マクシムは冷たかった。やはり、マクシムとフランセスカは愛し合っているのだ。子供のために、彼の幸せを奪ってはいけない。子供だって、そんな家庭に生まれては不幸だ。グレースは妊娠は嘘で、金目当てに結婚したが、続けられないと書いた手紙を置いて、家を出た。
母から貰った指輪を質に出して得たお金で、憧れのシベリア鉄道に乗り込んだグレースの心は、張り裂けそうだった。数日列車に揺られて、グレースはシベリアに到着した。終点のウラジオストックには、まだ数日かかる。駅に降り立ったグレースは、走って来るトラックに気付く。出て来たのは、マクシムだった。グレースは自分がついた嘘がうまく行かなかったと悟った。彼に愛する女性と共に過ごす人生を与えてあげたかったのに。だが、マクシムは既に愛する女性といると言った。愛しているのはグレースだと。これまでも、これからも愛するのはグレース一人だと、マクシムは告げる。唇を重ねる二人に、列車の乗客たちは、拍手と喝采を与えた。


すごくロマンチックです。で、この曲を思い出したって言うと、歳がばれちゃうかな。