475 逃げ出した愛人 ジュリア・ジェイムズ

逃げだした愛人 (ハーレクイン・ロマンス)

逃げだした愛人 (ハーレクイン・ロマンス)

生まれた時には父は無く、4歳の時母を亡くした姉妹は里親に引き取られ、身を寄せ合って育った。姉カーラは富豪アンドレアスと知り合い、身ごもるが、やっと結婚を許された後、アンドレアスと共に事故で帰らぬ人となった。甥アリと残されたアンはただ一人の身内となった赤ん坊をこの上なく愛していたが、アンドレアスの兄ニコスは、百万ポンドと引き換えに子供と手を切るよう要求する。兄弟の母ソフィアは、ニコスに手紙を託していた。息子アンドレアスを失った悲しみを、その息子を愛し、育てることで癒したい。アリには、何不自由ない生活を与え、家族の愛に囲まれて育って欲しいと手紙には書かれてあった。アンドレアスもカーラも、きっとそれを望むだろうとアンは、身を引き裂かれるような思いでアリを手放した。しかし、ニコスは小切手を受け取ったアンを蔑んだ。
アンは全額を働いていた慈善団体に寄付し、アフリカに孤児院を建て、自身も現地で働いた。孤児たちの世話で、アリを失った痛みを忘れかけた頃、アンは休暇で自宅に戻った。立ち寄ったおもちゃ屋で、アリたちの一行と出会ったのは偶然だったが、ニコスは金の為に、姿を現したと非難する。4歳になったアリを見て、愛され大事にされていることがわかってアンは、自分の判断は間違っていなかったと安堵したが、もう二度と会えないとわかっていた。しかし、ソフィアはアンを気に入り、家に招待するとニコスに宣言し、母の身体を思いやるニコスは、不満を感じながらもそうするしかなかった。蔑みながらも、欲望を覚える自分に嫌悪して、ニコスはますます苛立った。アンは危険を感じ、ニコスと二人きりにならないよう注意していたが、惹かれ合う二人はついに一線を越えてしまう。ニコスはアンを愛人にすることを決め、ダイヤのネックレスを与えようとするが、アンに拒絶される。やがて、ニコスはアンが金目当てに男性を誘う女などではなく、アリを心から愛していることを知る。ニコスはアンにこれまでの葛藤を話し、白紙に戻して交際したいと言った。アンにはニコスを拒むことができなかった。しかし、やがて帰る日がやって来る。ずっと滞在して欲しいと言うニコスに、アンは自分の生活があると答え、ロンドンに帰って行った。ニコスは混乱していた。どうしてアンは立ち去ることができたのだ。眠れない程、ニコスはアンのことだけを考え続けた。そして、母がアン宛ての小切手を切っていたことに気付いて、激怒し、彼女を訪ねて行く。怒りに燃える目を見て、アンは限界を感じた。この罵倒には、もう耐えられない。アンは真実を話したが、ニコスは笑い飛ばした。しかし、アンが差し出した封筒の中の書類を見て、ニコスは茫然となる。孤児院には、アンドレアスの家、カーラの家と名付けられていた。アンは貰った金を全てこれに注ぎ込んだのだ。ニコスは自分の言葉と態度を恥じた。アンは明日アフリカに立つと言った。戻って欲しいと言うニコスの望みを拒絶して。彼の傍で、いつか自分に飽き、他の女性と結婚するニコスを見たくない。ニコスは愕然として言った。自分たちは結婚するのだと。愛し合っているのだから。アンの誤解はやっと解けた。


さっさと、愛してるって言ってれば良かったのにねー。なんだか、こんな話ばっかりだねぇ。