450 拒絶された億万長者 アン・メイザー

拒絶された億万長者 (ハーレクイン・ロマンス)

拒絶された億万長者 (ハーレクイン・ロマンス)

友人ジュリアの誕生パーティを、自分のアパートメントで催したイザベルは、自分がふけ込んだような気がしていた。全く楽しめない。キッチンに逃げ込んだイザベルは、早くお開きになることだけを望んでいた。振り返ったイザベルは、戸口に佇む男性に気付く。ジュリアが連れて来た魅力的な男性だった。今まで感じたことのない感情を湧きあがらせる人。危険を感じてイザベルは身構えたが、彼はイザベルを誘惑しようとする。だが、彼にキスされた時、周囲の何もかもが消えうせた気がした。ジュリアの怒声で、我に返ったイザベルは、彼に帰るよう言い、彼は立ち去った。アレジャンドロは、自分がどうして、こんなにこのイギリス女性を求めているのかわからなかった。高まった自身を彼女に埋めたい。置き忘れたジャケットを理由に、アレジャンドロはイザベルの部屋を訪ねた。二人の抱える欲望は、理性を吹き飛ばし、もはや、行きつく所まで行くしか術はなかった。直後、アレジャンドロの携帯に父親からの連絡が入り、アレジャンドロはリオに帰らざる得なかった。また連絡すると、アレジャンドロは言ったが、約束が果たされることはなかった。イザベルは、翌年娘を産んだが、アレジャンドロはリオで幼馴染ミランダと結婚したことを知った。
アレジャンドロはリオに帰ってからも、イザベルを忘れられなかった。だが、麻薬依存症のミランダの運転する車の事故で、瀕死の怪我を負い、命は取り留めたものの、顔に刻まれた醜い傷跡と、満足に歩けない足では、イザベルに拒絶されると思い込み、家族の期待に背くことはできなかった。妹のように思うミランダとの結婚は茶番でしかなかったが、それは家族の望みだったのだ。そして、妻は更生することなく、命を落とした。しばらくしてアレジャンドロは、忘れられなかった女性をネットで検索してみることを思いつく。すると、彼女がシングルマザーであることを知らされ、その娘の写真は、彼の姪と瓜二つだった。自分の子供だ。事故で内臓も破損したアレジャンドロは、子供を持つことは無理だと医師から言われていた。自分の唯一の子供がここにいる。アレジャンドロは、何の知らせもよこさなかったイザベルに、怒りを感じ、彼女をリオに呼び寄せる算段を考え出す。インタビュー嫌いの作家が、インタビューを望んでいるという話に、イザベルは不審に思ったが、それはチャンスだった。リオに着き、ヴィラに案内されたイザベルは、二度と会うことはないと思っていた娘の父親の姿に、愕然とする。一夜を過ごした後で、連絡もよこさず、別の女性と結婚した彼は、そのことで私が取るに足らない存在であることを知らせたのだ。だが、彼は娘の存在を知っていた。彼の望みは何?アレジャンドロは、いまだにイザベルに強く惹かれていることを思い知らされる。再会した時のイザベルのショックを、アレジャンドロは傷跡に対する嫌悪だと誤解し、いたわろうとする行為を憐れみと思い込む。イザベルは彼の魅力に抗えない自身を覆い隠そうとしていただけだった。アレジャンドロは、深夜イザベルの部屋に忍んで行った。彼は醜くも老いてもいない。彼のために、それを証明したい。イザベルはアレジャンドロを求めていることを明らかにし、二人は身体を重ねた。翌日、イザベルは女主人から泥棒猫と罵られ、ヴィラから追い出されイギリスに帰った。イザベルはアレジャンドロに会いたかった。娘から父親を締め出す気などないことを分かって欲しかった。アレジャンドロは、意を決してイザベルを訪ね、イザベルの問いに答えた。二人はお互いに知らないことが多すぎたのだ。回り道をしてしまった。アレジャンドロは彼女なしでは、生きていけないことを告白し、結婚する。その6カ月後、イザベルは妊娠し、医師の診断が間違っていたことを証明した。


運命に翻弄される男女の話。一目惚れして、求め合いながらも、心のままに行動することは許されず、諦めてしまった男が、恐れを抱えながらも、やっと行動を起こす。自分には、健康な身体も、新たな家族を増やすこともできないと思いつつも、彼女を失うことは死に等しい。しかし、彼女は容姿など関係なく、彼自身を求めていた。激しい恋ですね。素敵です。