406 償いの結婚式 リン・グレアム

償いの結婚式 (ハーレクイン文庫)

償いの結婚式 (ハーレクイン文庫)

クリッシーの母は、騙されて駆け落ちしたあげく、子供を産んで亡くなる。クリッシーは幼子を抱え、困窮していた。やっと見つけた仕事を癇癪を抑えきれなくなったせいで失い、アパートからも追い出される寸前だ。それを一番見られたくない相手ブレイスに見られてしまった。しかし、ブレイスはクリッシーに仕事を世話すると言った。藁をもすがる気持ちでクリッシーは引き受けた。ロージーのためには、プライドなんて何の役にも立たない。家政婦の仕事だと聞いてはいたものの、その家がブレイスの家と知り、クリッシーは動揺する。彼にかき立てられてしまう自分の欲望が恐ろしい。買い物に出かけたクリッシーは姉のエレインに遭遇する。エレインは結婚したものの、ブレイスを忘れられず、離婚して彼を射止めると豪語していた。エレインは夫の子供を身ごもっていたが、ブレイスのために堕胎すると言った。驚愕したクリッシーは、エレインを思いとどまらせようと、ロージーの父親はブレイスだと嘘をつく。しかし、激怒したエレインはブレイスにその話をしてしまう。クリッシーはエレインの子供を守るために嘘をつき通すことしかできなかった。
母からは、自分を裏切った男の子供だと疎まれて育ち、祖父からは母の人生を壊したと責められ、父も義理の兄弟も亡くなった今、ブレイスは孤独だった。映画スター並の容姿を持ち、裕福なプレイボーイとしてタブロイドを賑せてはいたが、ロージーはその彼の心に楔を打ち込んだ。クリッシーはブレイスが彼女の嘘を信じたことに驚いた。そして、ブレイスは二人を手に入れるために、クリッシーと結婚すると宣言する。クリッシーは時間稼ぎをして、エレインがブレイスを諦め、夫の元に戻ることを望んだが、ブレイスは彼女に時間を与えなかった。真実を話すしかない。決意したクリッシーだったが、話す機会は結婚式当日までなかった。だが、それを暴露したのはエレインだった。エレインはロージーの出生証明書をブレイスに見せ、結婚式は中止だと告げる。しかし、ブレイスは決然と強行し、クリッシーを妻とした。クリッシーは、ブレイスを傷つけたことを後悔し、謝罪したが、ブレイスは聞こうとしなかった。ブレイスはクリッシーの弱点を知り尽くしていた。軽蔑、嘲り、非難を受けてクリッシーは自身の崩壊を予感する。こんな生活は続けられない。
ブレイスはクリッシーを傷つけながら、自分も傷ついていた。彼女を許したい。ブレイスはエレインに会いに行き、彼女が妊娠していることを知った。エレインはブレイスを取り戻せると固く信じていたが、ブレイスは全く可能性のないことを説いた。家に戻ったブレイスはクリッシーを愛していることを、クリッシーにわからせ、クリッシーもまた、彼を愛していると告げ和解する。


落ちこぼれの末っ子として育った優しい娘が、素敵な男性を射止める話。弱弱しく見えても、芯は強いのね。