629 砂漠の王に愛を捧げ キャロル・マリネッリ

砂漠の王に愛を捧げ (ハーレクイン・ロマンス)

砂漠の王に愛を捧げ (ハーレクイン・ロマンス)

  • 作者: キャロルマリネッリ,Carol Marinelli,加納三由季
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2010/09
  • メディア: 新書
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ザカリは砂漠に籠っていた。王家の印であるステファニ・ダイヤモンドを探索するためだった。二つに分けられた、その半分を見つけることができれば、彼は二つの国を一つにするという先王の望みを叶えられる。そして、統治するカリスタ王国だけでなく、アリスト王国の国王ともなるのだ。だが、探索は行き詰っていた。苛立つザカリは、気晴らしを求め、彼の欲望を受け止めてくれる侍女の到着を待っていた。
王宮では、大騒ぎが起こっていた。王付きの侍女が失踪してしまったのだ。急遽その任を与えられたのが、エフィーだった。エフィーは、ヘリに乗せられ、砂漠に降ろされ王の天幕に一人で向かうこととなる。だが、エフィーを迎えたのは、寝室に裸で横たわるザカリの姿だった。
ザカリは落胆と怒りを感じた。エフィーは恐れおののき、召使いの間で泣き続けた。怠け者の侍女が、その任を任されていた理由を知って、エフィーは泣くしかなかった。男を知らないエフィーには、王を喜ばせることはできない。
ザカリは、エフィーの啜り泣く声に哀れを感じ、許しを与えた。
翌日から、二人は自身の日常に戻ったが、ザカリは次第にエフィーとの会話を楽しむようになっていった。
エフィーは、初めて王を見た時に、心を奪われてしまっていた。でも、それは恐れ多いことだ。エフィーの瞳に欲望を見た時、ザカリは一晩だけ望みを叶えようと告げる。これは愛とは無縁の行為だとわかっていても、エフィーはこのチャンスを逃したくなかった。
ザカリは、エフィーの裸体を目にして、これほど美しいものは見たことがないと思った。そして、彼女の初めての経験を素晴らしいものにしようと決意する。だが、高ぶる自身を彼女に埋めようとして、何も隔てるものなしに彼女に入りたいという思いに苛まれる。高貴な子種を、小間使い風情に与えることは間違っている。それでも、ザカリは、自身の欲望に負けてしまう。彼女に完璧な夜を与えたい。ザカリは、愛人の部屋にエフィーを連れて行き、今夜だけ彼のプリンセスになるようにと言った。
ドレスを来たエフィーは、気高く見えた。だが、その胸に輝くペンダントを目にしたザカリは、驚愕する。探し求めていたステファニ・ダイヤモンドだった。さりげなく問いただしたザカリは、エフィーが、アリスト王国の先王アイゲウスの隠し子であると確信する。
彼女から、そのペンダントを奪わなくてはいけない。ザカリは、エフィーに愛を囁き、彼女に結婚を迫った。エフィーは、初め驚愕したが、彼に愛されていると信じ、結婚を承諾した。
しかし、家臣たちは不当に手に入れたダイヤは、エフィーのものではないと言い、結婚に反対する。彼らを説得するため、ザカリは、エフィーと避妊せずに愛し合った事実を告げ、翌日には婚姻を済ませてしまった。
素晴らしい初夜を過ごした翌朝、ザカリは罪悪感を感じながら、エフィーに事実を打ち明けた。
エフィーは、ザカリが偽りの愛を餌に、権力を求めたことを知る。
エフィーは騙されたことを知って、彼を許すことはできなかった。
彼女は、ザカリと寝室を共にすることを拒み、殻に閉じ籠ってしまう。愛らしかったエフィーが、凍りついてしまったことに、ザカリは苛立ち、不満を抱えるが、どうすることもできなかった。
国中が湧き返り、失われたダイヤの発見を喜んでいたが、国王がみすぼらしい小間使いと結婚したことは醜聞でしかなかった。ザカリは選りすぐりのスタッフを手配して、エフィーを着飾らせたが、時代遅れな上に、誰もがエフィーに対して侮蔑を見せた。
アイゲウスが愛人に残したダイヤを手に入れたザカリは、アリスト国を訪ね、ティア王妃と対面する。王妃は政略結婚によって王妃となったが、ザカリは王妃の苦しみと悲しみを感じ、王妃と自分の妻を傷つけたものが権力であったことを知る。心を開いて、王妃と会話するうちに、ザカリは、自分がエフィーを愛している事実に気付いた。肩書きも財産も関係なくザカリ自身を愛してくれた唯一の女性を、騙し、傷つけてしまったことを、ザカリは悔み、エフィーに謝罪と彼女への愛を告げるため、帰路についた。
ザカリの留守中、エフィーは母の残したものを探索していた。そして、結婚証明書を見つける。アイゲウスと母は結婚していたのだ。そして、エフィーだけがアリスト王国の嫡出子だった。
エフィーは、ステファニ・ダイヤモンドの正当な持ち主だったのだ。
ザカリが戻った時、エフィーは輝くばかりに美しかった。周囲を魅了し、注目を浴びる彼女は、ザカリの手の届く相手ではないことを見せつけていた。ザカリは必死で、彼女に愛を告げるが、エフィーは彼を軽蔑し出て行った。だが、一時間後、アリストに向かったとばかり思っていたエフィーが、砂漠に出て行ったことを知らされたザカリは恐怖に脅えた。彼女を失う訳にはいかない。
ヘリからサーチライトで探索したザカリは、エフィーを発見して安堵し、彼女に砂漠は真実と向き合う場所だと告げる。彼はエフィーを逃がしたくなくて、結婚で縛りつけたと言った。そして、彼の愛が信じられるようになるまで、砂漠の天幕の中で過ごそうと抱きしめた。彼の愛が信じられるなら、何でもできるとエフィーは答えた。二人はお互いを取り戻し、エフィーはアリスト王国の女王となった。


失われたダイヤを求めるザカリは、天命を待ち、エフィーと出会う。彼女へと引き寄せる引力に、ザカリはただの欲望だと考えるが、エフィーのペンダントを見て、責任を果たすことだけに夢中になってしまう。やがて、ステファニアというエフィーの実名の謎が解き明かされ、過去が暴かれた。