615 ボスにキスを捧げて ダーシー・マグワイア

ボスにキスを捧げて (ハーレクイン・イマージュ)

ボスにキスを捧げて (ハーレクイン・イマージュ)

ターリアはキャリアを積むことだけを念頭に生きてきた。そして、今度こそ、重役の椅子は自分のものだと、確信してもいた。
しかし、ミーティングで発表されたのは、ターリアが手に入れたと思っていた椅子に、見知らぬ男性が抜擢されたというニュースだった。
ケイスは、自分が買収した会社の現状を知るため、素性を隠して入社した。だが、自分の部下となった女性に心を奪われ、愕然とする。
ターリアは、ケイスがその椅子に相応しくないことを証明するために、ケイスからの誘いを利用しようと考えたが、次第に彼に惹かれていってしまう。
内部情報から、会社が買収されたことを知ったターリアは、ケイスについて調べたファイルを持って、彼が首にされないように助言しようとするが、ゼネラル・マネージャーにそのファイルを見られて、窮地に陥る。ところが、身を捨てて守ろうとした彼が、実はオーナーだったことを知らされ、深く傷つく。プライドを守るために、彼女は、全てを知っており、重役の椅子を手に入れるために、ケイスを葬ろうとしていたと話し、ケイスはそれを信じた。ケイスは、ターリアがキャリアだけを欲しがった事実に打ちのめされ、この椅子は君のものだと言った。
欲しかった椅子でも、こんな状況では欲しくはない。策を弄して勝ち取った役職に甘んじるような上司のいる会社になんか、自分でもいたくない。ターリアは自分の席に戻ると、彼宛てに辞表を書き、社員全員宛に、ケイスの素性をばらした。
社員が次々と、甘いものを持って、彼の部屋を訪れ、彼を称賛する。中の一人が、ターリアの辞職を残念がっていたことから、ケイスはターリアの辞表に気付いた。
欲しいものが手に入ったのに、どうして辞めることがある。
もしかしたら、自分は酷い間違いを犯したのかもしれない。
ケイスはターリアの家を訪ね、彼女に率直に聞いた。ターリアは、たとえ自分の自尊心を犠牲にしても、これが最後のチャンスだと感じ、彼に愛していると言った。
ケイスの胸は高鳴った。彼女はただの男としての自分を愛しているのだ。そして、彼も全身全霊で彼女を愛していると言った。


妻に裏切られて傷ついた男と、男に頼らないで生きると誓った女の話です。