604 侵入者 サンドラ・ブラウン

侵入者 (MIRA文庫)

侵入者 (MIRA文庫)

アリスは17歳でルーカスを産んだ。半分白人の血を持つ自分を受け入れてくれた祖父と若くして母親になってしまった母に、負い目を感じながら、ルーカスは育った。貧困と蔑みの中で、ルーカスは先住民のために働きたいと切望し、弁護士となったが、苛立ち、ついに過激な行動を起こす。それは、合法的な集会だったが、一部の賛同者が暴徒と化し、先導者として彼は逮捕され有罪を言い渡される。言い訳一つせず、ルーカスは牢に繋がれ、刑期終了3ヶ月前になって、祖父危篤の知らせを受ける。ルーカスは二日間の外出を懇願するが、退けられて脱獄を決意した。そして、脱獄したルーカスは、食べ物を求めて一件の家に押し入り、エスリンと出会う。
エスリンは裕福な家庭に生まれ、何不自由なく育ったが、両親は彼女の望みを理解しようとせず、彼女が上流階級の誰かと結婚することだけを望んでいた。
ルーカスは一目でエスリンに惹かれ、自殺行為に等しいと知りつつ、彼女を人質として同行させる。
雄々しいルーカスを、恐れながらも、エスリンは惹かれていく。
祖父を看取ったあとで、悲しみに浸るルーカスに、エスリンは手を差し伸べた。二人は抱き合い、身体を重ねたが、直後、警察が押し寄せ、ルーカスは逮捕される。
刑期が最長になることさえ覚悟していたルーカスだったが、たった半年延びただけだったことに、ルーカスは驚かされる。エスリンは、なぜ告訴しなかったのだろう。
刑期を終えると、ルーカスは、その足でエスリンを訪ね、自分の息子が生まれていたことを知る。混血の私生児として蔑まれた自身のような経験を息子にさせたくない。
ルーカスは、息子を渡すか、結婚するかの決断をエスリンに突きつけた。エスリンは結婚を選択し、ルーカスは二人を連れて居住地に戻った。
エスリンは、自分がルーカスを愛してしまったことに気付き、努力を決意するが、ルーカスは頑なだった。
ルーカスは、息子だけでなく、献身的に自分の世話もしてくれるエスリンの真意が理解できなかった。ただ、自分が何よりも彼女を求めていることを、認めたくなかったのだ。
嵐、落雷、息子の病気が、彼らを結び付け、お互いなしに生きられないことを確信させる。
やっと、二人はお互いに愛し合っていることを確認した。


一目惚れしちゃった女を拉致したものの、傷つけるつもりはなかった。この女に愛されたいと奥底で望んではいたが、期待はしていなかったのだ。だが、彼女は彼を美しい獣のようだとときめいていた。
女性の願望を物語にしたら、こんな感じかな。って話です。