594 捨てられたシンデレラ ナタリー・リバース

捨てられたシンデレラ (ハーレクイン・ロマンス)

捨てられたシンデレラ (ハーレクイン・ロマンス)

ケリーはテオと知り合って恋に落ち、求められるまま一緒に暮らし始めるが、ある日、妊娠に気付く。彼に知らせようと、書斎に行ったケリーは、テオと彼の兄コルバンの話を聞いてしまう。コルバンの息子ニッコを母親から奪い取る相談だった。
ケリーの母は16歳でケリーを産み、子供を奪われた。そして、立ち直ることができずに、麻薬の過剰摂取で亡くなった。親友であるハリを、そんな目に合わせられない。即座に、ケリーはハリの部屋に行き、テオとコルバンの計画を明かし、ハリは部屋を飛び出して行く。だが、その時、ケリーはハリが酔っていたことに気付いた。彼女は運転できる状態ではない。仕方なく、ケリーはテオに知らせたが、既にハリは建物を出た後だった。ハリとニッコの乗った車は事故を起こし、二人は無事だったが、ケリーは動揺していた。
テオは、ケリーがしたことを知って激怒し、彼女に出て行けと告げた。やはり、テオにとって自分は、その程度の存在だったのだ。妊娠を知ったら、彼は子供を中絶しろと言うか、取り上げるだろう。ケリーは黙って立ち去った。
テオは母との約束を果たすために、美しい島を買い取ることを決めていたが、持ち主のドラゴンは、テオに冷ややかだった。ケリーを気に入るドラゴンは、ケリーと二人で滞在するなら、考えてもよいと告げる。要求を呑むしかないテオは、ケリーの所在を探し出し、彼女にしばらく婚約者として過ごしてもらうと告げる。そんな命令に従う義務はなかったが、ケリーは息子ルーカスのことを、テオに知られたくなかった。だが、島に同行して、罪悪感を感じ始めたケリーは、彼に打ち明けることを決意した。直後、ルーカスを預けていた叔母から、ルーカスが怪我を負ったと連絡が入る。動揺するケリーをテオは素早く戻れるよう手配し、気遣うテオにケリーはルーカスがテオの息子であることを話した。テオは激怒したが、病院でルーカスを見た途端、心を奪われる。
テオはルーカスのために結婚すべきだと言った。ケリーは、自分から息子を奪うための策略ではないかと疑う。彼は全てを自分の思い通りにしたがる。そして、以前彼女が家族の問題に口出ししたことを許そうとはしない。ケリーはハリがアルコール依存症だったことなど、知らなかった。計画をぶち壊したことを、ケリーはハリとコルバンに謝罪した。
ドラゴンは、ケリーを呼び出し、テオが話さない秘密を全て知っていることを話し、彼女の態度からそれが真実であるという確信を得て、島を売ることを決めたが、テオは彼女がまた、権利のないことに口を出したと責めた。
ケリーは結婚を承諾したが、それはまるで辛い試練に耐える表情だったことに、テオは傷ついた。
やがて、テオは気付く。彼女が不幸なのは自分のせいなのだと。強引にギリシアに連れ戻し、言いなりにしようとして、彼女に敬意を払おうとしなかった。彼女が言った通り、自分は独裁者だった。
見えていなかった真実が見え始め、テオはケリーを愛していたことに気付く。そしてまた、ケリーも、要らない娘だった悲しい時期に身に着いた、防御の壁を壊すことを知る。彼を信頼し、頼ってもいいのだ。三人は、やっと家族になった。


ドラゴンの口添えがなかったら、ハッピーエンドはなかったんだね。って話です。