585 許されざる者 ビバリー・バートン

許されざる者 (ハーレクイン・スポットライト・プラス)

許されざる者 (ハーレクイン・スポットライト・プラス)

母は囲われもので、リースを身籠った時、彼女は反対を押し切って産んだ。やがて、彼女と結婚したハリーは、リースを暴力の的にし、怒りと貧しさの中で、リースは大きくなった。リースは、自分の価値を証明したいと望んでいた。B・Kは無視していた婚外子の資質に気付くと、リースを利用して、息子ケリーの奮起を起こさせようと画策する。そして、リースを息子と認め、親族として迎えることを決めた。
だが、呼び出されたリースを迎えたのは、銃声と血を流すB・Kだった。事切れたB・Kの傍らにいたリースは、親殺しとして逮捕され、状況証拠のみで有罪を下された。
予知能力と透視能力を持つエリザベスは、夢の中で、男の苦悩を見た。男は傷つき、怒りと恐怖に苛まれていたが、彼の思考が読めないことに、エリザベスは不安を感じた。それでも、彼女の予知能力は、彼がエリザベスの元に来ることを告げ、彼を助けることができるのが自分しか居ないことを確信させていた。
護送中、車は事故を起こし、保安官たちは亡くなる。リースは、このまま一生を刑務所で過ごすよりも、逃亡して、真犯人を探し出す事を決意する。怪我を負い、凍りつく雪山を進むリースは、自分を呼ぶ声を聞き、導かれるままキャビンに辿りつく。煌々と明かりのついたキャビンには、鍵がかかっていなかった。中にいた美しい女性は、リースに自分を信じて欲しいと言ったが、彼は誰も信じられないことを、苦い人生で学んでいた。だが、もはやリースの身体には、何をする力も残っていなかった。
エリザベスは何とか連れて行ったベットに、リースを横たえ、濡れた衣服を脱がせ、治療を施した。捜索が来るのに、2・3日。それまでに、彼の抱える問題と、助ける方法を模索しなければいけない。
目覚めたリースは、エリザベスの能力に不審を露わにした。それでも、彼女を傷つけたくないという思いは、彼女の助力を拒絶させる。サムはエリザベスの後見人で、警備会社を経営していた。エリザベスはリースが彼女のジープで出て行った後、サムの助けを頼み、落ち合う約束をした。
関係者に会えば、何かしらの情報が得られるはずだ。エリザベスはリースの無実を信じる妹クリスの助けを借りて、家族の集まりに同席し、犯罪現場の幻視を見たと告げる。疑わしい人物は、大勢いたが、エリザベスには特定できなかった。サムとリースは、嘘の証言をした人間に、真実を話すという約束を取り付けるが、リースは自首をする決意ができなかった。それは、他人に自分の運命を託すことだったからだ。エリザベスはリースに、身体も愛も全てを捧げた。彼の子供を身籠ることを予知しながらも、彼女は彼を受け入れ、リースは自首を決意する。だが、身を隠していたコテージに、ケリーの妻が愛人と現れ、ハリーは彼女をつけて来ていた。ハリーはリースを殺すことを決めていたが、弾丸は阻止しようとしたエリザベスを撃ち抜いた。
一命を取り留めたエリザベスは、病室で幻視を見た。リースが移送される時、犯人は彼を狙う。そして、リースを救うことができるのは、自分なのだ。激痛に耐えながら、エリザベスは着替え、拘置所に急いだ。エリザベスに体当たりされて、銃弾は空に向かい、犯人は拘束された。
リースの無実は証明され、彼は望んでいたものを手に入れた。富も地位も。だが、エリザベスは山でしか生きられなかった。6週間後、リースは全てを片づけ、エリザベスの待つ山に向かった。これからの人生を、彼女の傍で過ごすことだけが、リースの望む全てだった。リースはエリザベスのしてくれたように、自身と愛を彼女に捧げた。


狼の血を引く犬を飼い、人里離れた山で暮らし、ハーブを育てて生計を立てている能力者というヒロインは、他の作品でも居たね。兄のように慕う男がいるという点でも同じです。