584 呼び覚まされた屈辱 ケイト・ハーディ

呼び覚まされた屈辱―男爵家のスキャンダル〈2〉 (ハーレクイン・ロマンス)

呼び覚まされた屈辱―男爵家のスキャンダル〈2〉 (ハーレクイン・ロマンス)

母と二人きりの環境で育ったアリッサは、大家族に憧れていた。プロポーズされた時、母の忠告も聞かず、ひっそりとした式を挙げたアリッサは、やがて彼が既に結婚していたことを知り、心を打ち砕かれる。大家族への夢を封印し、彼女は仕事だけに没頭した。
主任看護婦のトレーシーは、そんなアリッサを憂い、同僚であるセブとのデートをお膳立てしようとする。チャリティーの景品となったセブは、女性が大好きだったが、長続きする関係には興味がなかった。当選者の名前が発表されて、セブは目立たない同僚がチケットを買ったことに驚くが、翌朝、彼女たちの話を盗み聞き、他の人間が彼女に内緒で投票し、アリッサ自身はデートに乗り気でないことを知って、怒りを感じる。躊躇するアリッサを、セブは半ば強引にデートに連れて行った。素敵なレストランでの、素晴らしい料理。戸惑ってはいたものの、アリッサは楽しむことができたが、帰りの路上で、無謀運転の車の事故に出くわし、二人は対処に追われてしまう。二人は礼儀正しく別れたが、お互いに危険なものを感じた。
セブは兄の結婚式を前に、同行してくれる女性を必要としていた。アリッサなら、家族に会わせても、過剰な期待を持ったりしないはずだ。セブはアリッサに助力を頼み、アリッサは断ることができなかった。
アリッサは、セブと母親やその夫の確執に気付き、陽気な外見に隠された孤独を知る。でも、彼の魅力に囚われてしまう訳にはいかない。短期間専門の男なのだから。
つい、飲み過ぎてしまったアリッサは、欲望を抑えることができず、セブを誘惑し、二人は一夜を共にしてしまう。翌朝、切れ切れの記憶に、アリッサは茫然とし、セブにただの同僚に戻ることを提案し、同意を得た。
それから、二人はお互いに避け合って過ごしたが、ある日、アリッサは妊娠に気付く。産み、育てる決心はしたものの、彼に知らせない訳にはいかない。アリッサは、デートとパーティに忙しいセブに、手紙を送った。
セブはアリッサを忘れようと、デートに精出していたが、誰とも楽しめなかった。そして、アリッサは、彼女と子供にセブは必要ないと言って来る。怒りを感じて、セブはアリッサに詰め寄ったが、彼女は全て一人でできると、彼を拒絶した。
アリッサは自身を守ろうとしていた。無防備に彼を受け入れて、その後、捨てられたら、もう生きてはいられない。
セブはアリッサの心の壁を取り去るのに必要なものを求め、車や家を買い替えることを決めた。一体、他に何が必要なんだ。セブは全てをさらけ出し、彼女を心から愛していることを告げ、やっと彼女を射止めた。


両親から無視されて育ったセブは、うつろな心を堅い殻で隠していた。彼女は、軽薄なプレイボーイの仮面の中の素顔に気付き、愛を勝ち取るという話。