583 苦い求婚 ケイ・ソープ
- 作者: ケイソープ,Kay Thorpe,江本萌
- 出版社/メーカー: ハーレクイン
- 発売日: 2008/07
- メディア: 新書
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
二年後、レオニーは父の横領を知った。父を起訴しないよう、ヴィダルの温情にすがるしかない。意を決して、レオニーはヴィダルに会いに行った。ヴィダルは、父を救いたければ、今夜彼の家に来るようにと告げる。考える余地はない。だが、ヴィダルは、欲しいのは愛人ではなく、妻だと言った。
言われるまま、レオニーはヴィダルと結婚して、ポルトガルに行った。初体験は素晴らしく、屋敷は美しかった。何の不自由もない生活に、不満など感じる意味はない。しかし、レオニーはヴィダルに強制されたという事実に、プライドが許さなかった。彼はハンサムで、裕福だ。彼の妻になりたい女性は、掃いて捨てる程居る。それでも、心が伴わない結婚など、長続きしないと、レオニーは覚悟していた。どんなに、ヴィダルが他の女性に目を向けることなどないと言われても、レオニーには信じることができなかった。
そして、ヴィダルに生家に連れて行かれた時、許嫁が居たことを知る。カテリーナが10年近くも、ヴィダルを待ち続けていたことに、レオニーは動揺した。だが、カテリーナは、ヴィダルが結婚相手を見つけてくれたことを喜び、修道女になりたいと告げる。彼女の人生は、彼女に決定権がある。必死に手助けしようとするレオニーに、ヴィダルは冷ややかだったが、最終的にカテリーナは自分の意思を通した。
ヴィダルは出会った瞬間から、レオニーが欲しかった。言い方を間違えたせいで、プロポーズを断られてからの二年間、彼はずっとレオニーを忘れられなかった。レオニーの父の横領は、彼女を手に入れるチャンスでしかなかった。でも、彼は身体だけでなく、彼女の全てが欲しかった。
自分の人生は、自分で決めるべきだというレオニーの言葉が、ヴィダルを苛んだ。そして、レオニーの父から連絡が来た。彼は、娘を自由にして欲しいと言った。そのために、自首しても構わないと。
己の事しか考えていなかった自分が、ヴィダルは恥ずかしかった。相手の気持ちを無視して、身勝手に、彼女の純潔を奪い、彼女を縛りつけた。
家に帰ると、ヴィダルはレオニーに離婚を告げた。レオニーは何も言わず、翌朝出て行った。
懐かしい我が家に戻ったレオニーは、父がヴィダルに、レオニーを自由にするよう頼んだことを知る。その時、レオニーはヴィダルの本心が見えた気がした。私たちは二人ともプライドに囚われて、本心を明かさずにいた。それを、正さなくてはいけない。
レオニーが戻ると、ヴィダルは即座に彼女を抱き寄せた。レオニーは勇気を出して、彼を愛していると告げる。それは、ヴィダルが待ち望み、諦めかけていたものだった。二人はやっと、居るべき場所にたどり着いたのだ。
言葉って大事って話ですかね。外見が美しくて、バージンだから妻にしたいなんて言ったら、中身はどうでもいいって言ったようなもの。日常でも、着火点をわきまえて、言わなくちゃいけない時って多いよね。