535 夜を抱きしめて リンダ・ハワード

夜を抱きしめて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

夜を抱きしめて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)

登山クラブで出会ったケイトとデレクは、交際を始め結婚する。双子の息子が生まれた直後、デレクは傷から感染症を起こし、命を落とす。経済的な理由と、デレクを思い出す場所にいたくないという気持ちから、ケイトはアイダホの片田舎に移り住むことを決める。デレクと共に景色を楽しみ、ロッククライミングをした素晴らしい思い出のある土地。宿を経営していた老婦人は、ケイトの打診に飛びつき、ケイトはB&Bの女主人となった。そして、乳飲み子だった双子は、わんぱく盛りの幼児に成長していく。そんなある日、ケイトは宿泊客が荷物も持たずに、窓から逃走したことに気付く。
シカゴのマフィア、バンティーニは、会計士レイトンから脅迫を受けた。大金の振り込みを拒否すれば、帳簿のコピーをFBIに持ち込むと言う。バンティーニはフォークナーにレイトンへの制裁と、フラッシュドライブの回収を依頼した。フォークナーは請求書を見つけ、二人の部下をアイダホに派遣した。
ケイトは行方知れずの客レイトンについて尋ねてきた電話と、急にやって来た二人の客に不信感を抱いていた。二人の客は、銃でケイトと村人ニーナを脅し、レイトンの荷物を渡せと言った。丁度やってきたカルは、ケイトの怯えを感じ取り、一旦立ち去った後、戻って来て二人の男を撃退する。
カルは初めてケイトに会った時から彼女に恋していた。だが、夫を失くしたばかりのケイトには、まだ準備ができておらず、彼に気付くこともなかった。命を救われて、ケイトは初めてカルに目を向け、目覚める。やせっぽちで内気な便利屋としてのみ認識されていた存在が男に変わった。
男たちはトランクにフラッシュドライブが入ってないことを知って、ケイトが隠し持っていると確信し、とんでもない計画を立てた。村へ向かう一本道にある橋を爆破し、電気と電話線を断ち切り、村を孤立させる。
ケイトは不安から、双子を母に預け一人で家にいた。突然、爆発音が響き渡り、銃弾が降り注ぐ。村人はカルの先導で、地下室のある家に逃げ込んで、対策を練った。討論の末、ケイトとカルは崖を上って救援を呼ぶことになるが、二人は崖の上で雪に降られ行軍は難しくなった。そして、二人は犯人たちにトラベルポーチを渡し忘れたことに気付く。そんな物のために、7人の命を犠牲にした。ケイトは急いで村に下り、ポーチの中を調べるが、中には何もなかった。
レイトンは振り込みをシカゴで待っていた。アイダホに自分の軌跡を残し息を潜めて隠れ続けていたが、もう限界を感じていた。バンティーニには支払う気はないのだ。レイトンはフラッシュドライブを持ってFBIに出向き、捜査官に渡した。
その頃、男たちは仲間割れを起こしていた。物陰からそれを眺めていたカルは、逃げた男が残していった車で救援を呼びに行った。
村人たちは孤立した村からヘリで助け出され、事件は終わった。
カルは、妻と双子と家庭をやっと手に入れた。


3年間、彼は待ち続けた。一目惚れしてから、彼女が自分に気付き、意識するようになるのを、ずっと待っていた。彼女に対する気持ちが強すぎて、赤面し、しどろもどろになるのを、村人たちは微笑ましく思い、応援していたが、彼女は一向に気付かなかった。そんな時事件は起こる。
将を射んと欲すれば・・・ってトコロね。双子は成長と共に、便利屋の道具箱と彼に魅了され、母より先に彼をすっかり受け入れてしまってた。
さすがのリンダさま。素敵です!!!