521 みじめな愛人 シャンテル・ショー

みじめな愛人 (ハーレクイン・ロマンス)

みじめな愛人 (ハーレクイン・ロマンス)

イーデンは病の床にいる弟のために、カリスマ・レーサーのラファエルに会いに行き、恋に落ちる。ラファエルの魅力の前では自尊心などは無力になり、イーデンは彼の愛人としての生活に身を沈める。しかし、貴族の娘との婚姻を望むラファエルの父ファブリッツィオは、策略を巡らし、ラファエルの弟ジャンニを使ってイーデンが浮気しているとラファエルに信じ込ませることに成功する。ラファエルはイーデンの話を聞こうともせずに、彼女を追いだした。ジャンニはその後、レース中の事故で不随となり、悲観して自ら命を断った。
イーデンはラファエルを忘れるために、武装地帯で報道記者として名声を得るが、地雷によって酷い怪我を負い故郷に帰ることとなった。だが、ただ無為にしているのは性に合わなかったイーデンは、友人の新聞社で働き始める。ラファエルが記者会見を行うという知らせは、イーデンを動揺させた。別れて4年、二度と彼に会いたくなかった。頼みこまれて渋々出かけたイーデンは、ラファエルに気付かれ無理やり彼の部屋に案内される。
ラファエルはイーデンを忘れることができなかった。二人の間には、まだ絆が残っている。自分を信じようとしないラファエルに、イーデンは傷つき、彼を拒絶する。だが、数日後、レースで燃え上がる車から這い出すラファエルを見た時、イーデンは悟った。彼を愛している。たとえ傷つこうと傍にいられる間は、彼の傍にいたい。
真実を知っていたジャンニは亡くなり、ファブリッツィオが告白することなど考えられなかった。ファブリッツィオは人目のない時だけ、イーデンに対する嫌悪を露わにした。彼の敵意を失くすために、妻の座に興味はないと告げたイーデンの言葉を聞いてしまったラファエルは、さらなる疑惑に苛まれ始める。イーデンと距離を置き始めたラファエルの態度に、二人の関係に未来がないことを思い知らされたイーデンは立ち去ることを決め、故郷に帰った。ラファエルはやっと父の口から真実を知った。そして、彼女を不当に扱った自分に罪悪感を持った。管理人として過ごしたラファエルの屋敷からタクシーで出て行こうとした時、ラファエルが現れる。彼はこの美しい屋敷の権利書を譲渡する書類を持っていた。いらないと返すイーデンに、ラファエルはレーサーを引退すると告げる。何の感激も見せない彼女に、ラファエルはどうすれば戻ってくれるかを尋ねた。イーデンは自分が愛しているように愛されることだと答え、タクシーに乗り込んだ。だが、ラファエルはタクシーの運転手にフェラーリの鍵を与え、タクシーの運転席に座って彼女を屋敷に連れ戻した。ラファエルはイーデンを抱きかかえ部屋に運びながら、彼女をずっと愛し続けてきたことを告げる。4年前から結婚を考えていたことをファブリッツィオは知っていたが、イーデンの弟の障害が遺伝的なものだと誤解していたため、二人の結婚を阻止しようとしたのだと。今ではファブリッツィオも二人の結婚を待ち望んでいると聞いて、イーデンの心は高揚した。ただの欲望ではない、彼は私を愛しているのだ。


愛し、信頼する家族の裏切りに、無残にも引き裂かれた愛。彼女は世界的に有名なプレイボーイが自分に夢中になっていることを信じられず、飽きられることを覚悟していた。熱い話です。