520 結婚と復讐のゲーム アニー・ウェスト

結婚と復讐のゲーム (ハーレクイン・ロマンス)

結婚と復讐のゲーム (ハーレクイン・ロマンス)

母は夫に捨てられて、祖父のもとに戻ったが、祖父は歓迎しなかった。母が亡くなった後は、祖父の虐待対象は、二人の孫に向けられ、アリッサは妹ドナが成人するまで我慢するつもりでいた。しかし、祖父は卑劣な手段で手に入れたシチリアの城を引き換えに、その子孫の男ダリオにアリッサを嫁がせるつもりでいた。その命令を拒絶したアリッサは祖父から報復を受け、家を出て仕事をすることとなった。捨て鉢になったドナは、姉の身分証を使って、いかがわしい店に出入りし、酒と男と麻薬に溺れた。部屋に警察が踏み込んで来た時、アリッサは咄嗟にドナから麻薬を取り上げ、逮捕された。アリッサはドナの代わりに有罪判決を受け、悔やんだドナは更生し、やがて出会った男性と結婚する。祖父が亡くなった時、アリッサは全てを放棄することを決めていたが、ドナの病気が発覚し、大金が必要になった。遺産を受け取るためには結婚をし、半年同居しなくてはいけない。期限は迫っている。ゲイの友人に便宜結婚を頼んだアリッサは役所で見知らぬ男性に話しかけられて驚いた。ダリオは金で婚約者を追い払い、先祖の城を取り戻すためにアリッサと結婚すると告げる。祖父と同じ威圧的な男に、人生を支配されたくない。だが、ドナのために、この結婚は必要だった。ダリオは探偵にアリッサを調べさせ、祖父と同じ強欲で自堕落な女だと判断を下していた。軽蔑し、憎みながらも、欲望を感じることにダリオは嫌悪するが、その欲望は彼を苦しめた。アリッサはダリオの使用人たちを魅了し、二人はお互いの判断に自信が持てなくなっていく。
それは、ドナの容態が悪化した時に起きた。早急に治療を受けさせるために、アリッサは城の代金を前借りしたいとダリオに請求し、ダリオはその支払いの代償として、彼女の身体を要求する。同意しなければ、治療費を手に入れることができない。アリッサは承諾して、彼に身を任せた。素晴らしかった。翌朝、支払いを請求するアリッサに幻滅して、口にした言葉から、お互いの誤解が判明し、ダリオは大きなショックを受ける。自分は妹の命を救うために戦う彼女を、金と権力で縛りつけ、バージンを奪ったのだ。
ダリオは治療に係る様々な手配を迅速に済ませ、アリッサと共にドナ夫婦の助けとなった。後悔と罪悪感に苛まれながらも、ダリオはアリッサを手放すことはできなかった。契約では、半年後離婚することになっていたが、ダリオは彼女と家庭を作りたいと思い始める。アリッサはダリオを愛してしまったことに気付き、彼の愛なしに、このままの生活を続けて行くことはできないと決意する。二人はお互いの心を探るあまりに、自分の思いを明かすことを拒み、決裂した。ダリオの手配したリムジンが城に差しかかる頃になって、今立ち去ってはダリオが城を取り戻す事はできない事にアリッサは気付き、戻ることを決めた。ダリオはアリッサを失って初めて彼女を心から愛していることに気付き、時間を置いて彼女を取り戻すことを決意したが、振り返ると彼女が立っていた。城などどうでもいい。大事なのは彼女だけだ。ダリオはアリッサに愛していると告げた。


傲慢で冷酷な祖父に立ち向かい、妹を守ることに必死だった彼女は、張り詰める心を彼に癒されるが、彼が自分たち一族を許すことはできないと思う込む。彼は頭と心が指し示す方向が違うことに戸惑い、猜疑心を捨てられずにいた。真実を知った後の罪悪感も欲望の前には霞み、彼女が欲しいという思いは加速して行く。愛は全てを凌駕するってことですかね。