505 胸騒ぎのハネムーン リンゼイ・アームストロング

胸騒ぎのハネムーン (ハーレクイン・ロマンス)

胸騒ぎのハネムーン (ハーレクイン・ロマンス)

フィンはシエナに惹かれていた。シエナは理学療養士として、適切な態度でフィンに接してはいたが、彼の魅力には気付いていた。フィンから療養のために牧場に同行して欲しいと言われた時、危険に気付いたシエナは即座に断ったが、フィンは巧妙に手を廻してしまっていた。
シエナは過去、婚約者を妹に奪われ傷ついていた。直後、家を離れたシエナは今の生活に満足したふりをしていたが、妹ダコタとジェームズの結婚式の招待状には平静ではいられなかった。行かない訳にはいかないが、一人で出席するのは屈辱的だ。フィンの行動に腹を立てていたシエナは、その結婚式に同行してくれるなら、牧場に行ってもいいとフィンに告げる。だが、事故で婚約者を失ったフィンに頼む内容ではなかったと後悔した時には、もう遅かった。フィンは彼女の弁解を遮って、条件を飲むと答えた。執事や運転手も交えて牧場に移ったフィンは、精力的に回復して行った。自分を拒むフィンの態度に、次第にシエナは立ち去ることを考えるようになった。ある日、悪夢にうなされるフィンに気付いたシエナは、彼に抱きすくめられて、ついに一線を越える。素晴らしかったと言うシエナに、フィンはプロポーズした。躊躇うシエナに、自分がいない生活が考えられるかと彼は聞いた。シエナはフィンを愛していることに気付き、茫然とする。完璧だった彼の婚約者ホリーに対抗することなどできるのだろうか。彼の愛がホリーのものなら、自分はそれに耐えられるのかと、シエナは悩んだ。その思いは彼女を疲れさせ、ハネムーンの夜、シエナは眠り込んでしまう。その姿を見て、フィンの疑いは頭をもたげた。これは罠だったのか。そして、ダコタが結婚を取りやめたとジェームズがシエナを訪ねてきた時、フィンの疑心暗鬼は爆発する。フィンはジェームズに復讐するために、フィンを利用したと思い込んでいる。話を聞こうともしないフィンに、シエナは絶望した。信頼できなければ未来はない。だが、シエナは妊娠してしまっていた。喜びも感じない、うつろになってしまった妻に、フィンも自身の中の悪魔と戦っていた。やがて、放浪していたダコタが現れ、結婚を止めた理由が判明する。ダコタはシエナとフィンの姿に真実の愛を見て、ジェームズは相応しい相手ではないと悟ったという。誤解だったとわかったとしても、何も変わりはしない。深夜、やって来たフィンに、シエナは言った。フィンは思い悩んだ全てを話した。彼の苦悩を理解し、彼がシエナの苦しみを知っていたことで、シエナは彼の愛を信じられた。


欲望の罠に落ちたフィンは、狡猾な女に騙されるところだったが、婚約を解消した直後に事故に合い、元婚約者は亡くなってしまう。姿だけは美しかった彼女の影は、彼の心に不穏な闇を作り、真実が見えなくなってしまう。シエナを求める心に従って、結婚を決めたものの、些細な疑惑から自分が作り出した悪意に囚われ、彼女を失いそうになる。何事にも、試練はあるという事ですかね。