498 熱い復讐 ルーシー・ゴードン

熱い復讐 (ハーレクイン・ロマンス)

熱い復讐 (ハーレクイン・ロマンス)

エリーズは父の上司ベンの執着から逃れ、イタリアで美術学生となった。アンジェロと恋に落ちたエリーズは、彼のアパートで同棲を始めるが、いきなりベンがやって来る。ベンはエリーズの父が会社の金を横領したと言い、彼女に結婚を迫った。愛する父は、娘を留学させるために、借金をし、遅れた支払いのために魔が差したのだった。エリーズはアンジェロに別れを切り出したが、激怒したアンジェロは二日間帰って来なかった。エリーズを迎えに来たベンは、戻って来たアンジェロに、抱きしめられキスをされるエリーズを見せつけ、懇願するアンジェロを嘲笑った。そのままエリーズはイギリスに連れ去られ、ベンの妻となった。アンジェロをずっと愛し続けることを知らせたい。エリーズは連絡先を知らせ、手紙も書いた。電話口に出た女性は、アンジェロが亡くなったと言ったが、その後電話が繋がることはなかった。エリーズはベンを軽蔑していたが、彼が求める社交的な外見は完璧に務めた。8年後、父は亡くなった。もう自由になれる。だが、その猶予を与えず、ベンはイタリアへの転勤を明かした。既に屋敷は売り払われ、資産を移し、イタリアの豪華なペントハウスを買い取ったと言う。ところが、イタリアに渡る前に、突然ベンは亡くなった。その夜、エリーズは父がもう少し生きていてくれればと泣いた。翌日の葬儀の席で、エリーズは見覚えのない男性に気付く。彼はベンが就職するはずだった会社の社長だった。わざわざ来たことに訝しく思いながら、エリーズは彼を魅力的だと気付く。ヴィンチェンテはエリーズを誘惑しようとしたが、エリーズははねつけた。エリーズはベンの残した負債を清算するため、イタリアに買ったペントハウスの売却を依頼したが、一向に売れず、しばらく住むことを提案された。行きたくはなかったが、花屋で働き始めたエリーズは、店主の婚約者からの誘惑を蹴った結果、ヴィンチェンテの提案を受ける他なくなる。自由になったのだから、しばらく楽しんでもいいのかもしれない。
ヴィンチェンテは従弟アンジェロを殺した女に復讐しようとしていた。だが、彼女を知るにつれ、彼女は被害者だったと知るようになる。ヴィンチェンテの心は揺れた。真実を明かすべきだが、彼女との関係を壊したくない。ある日、エリーズはヴィンチェンテの母から食事の招待を受けた。彼女はエリーズを歓迎し、早く孫が見たいと言った。彼女の言葉に感激して、居間を見まわしたエリーズは一枚の絵に気付く。それは自分が書いたアンジェロの絵だった。エリーズは自分の行いのせいで、彼が自殺したことを知り、ヴィンチェンテの目的に気付いた。罪悪感に飲み込まれ、昼夜悪夢を彷徨い、エリーズはアンジェロに会うために思い出の場所に向かい事故に合う。
ヴィンチェンテはエリーズからの連絡を待ち続けたが、我慢できずペントハウスを訪れ、エリーズが事故に合ったことを知る。病院で医師からエリーズの妊娠を聞かされたヴィンチェンテはエリーズに結婚を告げた。ぼろぼろになったエリーズは抵抗も見せず、彼の言いなりになった。ヴィンチェンテはエリーズを心から愛していることを教えたかった。だが、エリーズの不信感は揺らぐことがなかった。アンジェロの名を呼び、悪夢にうなされるエリーズに、ヴィンチェンテは嫉妬を感じた。このままでは平行線のままだ。ヴィンチェンテはアンジェロの死因の真相を調べることを決める。
墓地に連れて行かれたエリーズは、貧相な男から意外な話を聞かされた。アンジェロは麻薬を売って利益を得、そのせいで他の売人に目を付けられて殺されたというのだ。自殺ではなかった。エリーズの罪悪感は消え、安堵に変わった。ヴィンチェンテはエリーズに愛を告白し、アンジェロしか愛せないのかとエリーズに尋ねた。エリーズは罪悪感が消えた今、心にはヴィンチェンテしかいないことを明かし、愛していると告げた。


ちょっと泣ける話です。美しく生まれついたおかげで、囚われの身になってしまった悲しみ。父への献身は、恋人の死によって、彼女の罪となった。美人には利点ばかりある訳ではないという話です。