497 誘惑は嵐の夜に クリスティーナ・ホリス

誘惑は嵐の夜に (ハーレクイン・ロマンス)

誘惑は嵐の夜に (ハーレクイン・ロマンス)

思いがけなく授かった娘に両親は愛を与えることなく、非難ばかりを浴びせた。シェリルは勉強に明け暮れ、書物だけが友達で、やがてネットにはまってしまう。チャットで知り合ったニックは、シェリルの話に同情を見せ、会うことになったのは必然だった。しかし、やがてシェリルは騙されていることに気付く。両親はシェリルの失敗に容赦なかった。シェリルは出直しを決め、イタリアでの仕事を決めた。
屋敷に着いた時、幼いヴェットールは熱を出していた。幸い重篤なものではなかったものの、医師の診察を受け、後見人に連絡している間に嵐がやって来た。使用人は帰り、シェリルはヴェットールと二人で広い屋敷に取り残された。雷が鳴り響き、雨が吹き荒れる中、シェリルは心細い思いと戦っていた。ヴェットールのために強くならなくては。だが、停電の後で、戸口に現われた人影に、シェリルは動揺のあまり飛びついてしまう。
二人は惹かれ合っていた。シェリルはマルコの男らしさに反応してしまう自分に戸惑い、自分は彼に相応しくないと言い聞かせようとする。でも、愛を求めているヴェットールとマルコの橋渡しをしたいと、シェリルは思っていた。マルコはなんでもお金で解決しようとしている。お互いを大事に思う心を教えたい。マルコはシェリルの自分に向けられる熱い思いに気付いていた。差し出されているものを受け取っても悪いことではない。だが、彼女は使用人だ。そして、マルコは解決策を思いつく。結婚すれば、ヴェットールに完璧な母親を与えられる。そして、シェリルに経済的な安定を与え、守ることができる。便宜的な結婚と聞いてシェリルは悩んだ。私はマルコを愛している。マルコとヴェットールに愛を与えることは、彼女の夢の一つだった。だが、結婚披露のために開いたパーティでシェリルは思い知らされる。自分はこの場所に相応しくない。それに、マルコとヴェットールの間にできた絆は壊れることはないだろう。もう、私は必要ないのだ。シェリルは黙って立ち去った。シェリルが姿を消した事を知って、マルコは茫然とする。今まで信じていなかった愛が、彼の心に生まれていた。彼女を失う訳にはいかない。マルコはシェリルを追った。マルコは真摯な愛の言葉で、彼女を引き留め、結婚を求めた。シェリルの夢が叶ったのだ。


愛されることなく育った娘は、誰かに愛されることを夢見ていた。自信を失くしていたシェリルは、マルコの称賛を受け花開く。という話です。