491 切なき情事 ヘザー・マカリスター

切なき情事 (ハーレクイン・アフロディーテ)

切なき情事 (ハーレクイン・アフロディーテ)

テスは一人娘だったが、両親は仕事中毒で、ほとんど家族の時間はなかった。父との時間を持つために、父の務める会社でアルバイトを始めたテスは、過労死した父を見てしまう。大学を辞め、その会社に就職したテスは仕事に打ち込むが、ある日突然パニック障害に襲われる。会社に入る事はおろか、着替えることさえできなくなった娘を、母は理解できなかった。テスはそこから去ることを選んだ。各地を転々としながら、テキサスの静かな酒場に行きついたテスは、ウェイトレスとして働きながら、その日暮らしをしていた。だが、バーの取り壊しが計画され、テスは途方に暮れた。その日、バーにはテスのお気に入りの常連客ヘンリーが来ていた。ヘンリーは、夢を叶えるようにと、テスにダッフルバック一杯の札束を置いていなくなった。
エヴァンは仕事中毒だった。ヘンリーは親族経営の会社の重役たちを、一斉に休暇に送ることを決めていたが、エヴァンは休暇を取ることを拒んでいた。ヘンリーはエヴァンを会社から追い出し、電話の取り次ぎも禁じていた。だから、エヴァンはヘンリーを捜して、テスのいる酒場にやって来たのだった。テスはヘンリーのお金を受け取るつもりはなかったが、エヴァンにリラックスする方法を教えるのも悪くないと決意する。一週間、彼の傍で楽しんでもいいんじゃない。テスは音信不通になっていたエヴァンの恋人と別れ話をさせることと引き換えに、オフィスからエヴァンのパソコンを持ちだすことを約束する。だが、テスはオフィスで会社が危機を迎えていることを知る。社員が持ち株を売ろうとしている。エヴァンは阻止しようと、動き出したが、その姿はテスに両親を思い出させた。仕事を理由に、後回しにされる人生なんて御免だ。出て行こうとするテスを、エヴァンは身体で引き留める。自分たちは愛し合っているんだ。テスの働きで会社は危機を脱し、ヘンリーが謝罪の言葉と共に訪れ、二人に仕事の依頼を持って来た。自由に市場調査をして、時々報告書を提出するという、二人にぴったりの仕事だった。エヴァンは最優先事項は、テスだと言った。テスはやっと、欲しかった愛を手に入れた。


音痴の歌い手に、CDを作れなんてね。ヘンリーの投資は、無駄じゃなかったけど、結果は考えていたのとは違っていたみたい。