485 素顔を隠して ダイアナ・パーマー

素顔を隠して (ハーレクイン・プレゼンツスペシャル)

素顔を隠して (ハーレクイン・プレゼンツスペシャル)

サイに出会った時、メレディスは18歳だった。メレディスは、サイに二十歳と嘘をつき、二人は交際を始めたが、当初サイは彼女の若さに怖気づいた。しかし、メレディスを欲しいという気持ちは高まり、ついに恋人となる。彼女を手放さないために結婚を決めた時、サイの母マーナは凍りついた。息子には良家の子女を娶って欲しい。その上、メレディスの住む界隈には、マーナの暗い過去を知る者がいた。マーナは計画を立て、メレディスを陥れた。メレディスは、自分を信じようとしないサイの態度に、傷つき、土地を離れた。メレディスが去った後、後悔したマーナとサイは、それぞれにメレディスの行方を調べたが、彼女の所在はわからなかった。マーナはメレディスの妊娠に気付いていた。そして、18歳の妊婦を世間に放り出してしまったことに、罪悪感を感じたが、息子に話すことはできなかった。
メレディスはバイトで貯めた僅かなお金で、シカゴに行き、慈善団体に身を寄せた。周囲の詮索を嫌ったメレディスは、少人数の場所に移ろうとして、移動中眩暈に襲われ、車に轢かれそうになった。それがヘンリーとの出会いだった。ヘンリーはメレディスの妊娠を知って、援助の手を差し伸べる。ヘンリーは子供を作れない身体だった。彼は欲しかった子供と妻を同時に、手に入れた。ヘンリーはメレディスを隠し、慈しんだ。だが、やっとメレディスがヘンリーの愛に応え、彼を受け入れた直後、ヘンリーは事故で亡くなってしまう。その喪失感を、メレディスは復讐心で乗り越えた。ヘンリーはメレディスに彼の巨大な企業を残していた。国内企業の最高責任者として、メレディスはヘンリーに教わった経営戦術を発揮し、利益を生んで行った。そして、サイの会社を追いつめることを、楽しもうとした。叔母が亡くなった時、その様々な雑事をこなすために、メレディスは6年ぶりに故郷を訪れる。バスで降り立ったメレディスにサイはすぐ気付いた。サイはいまだにメレディスを求めていた。メレディスは自分を奪い、傷つけたサイに報復するつもりだった。何も知らないサイは金と欲望で、メレディスを愛人にできると思い込んだ。ヘンリーの弟ドンと共に役員会に乗り込んで来たメレディスを、サイは不審に思ったが、メレディスが身分を明かすと激怒する。黙って会社を奪われるようなことはしない。しかし、マーナは自分の罪に耐えられなかった。憎まれることを覚悟して、マーナはサイに全てを打ち明けた。母がメレディスにした仕打ち、それ以上に自分も彼女を傷つけた。サイはドンがメレディスを疎んじていることを知っていた。買収を阻止し、メレディスが会社から追われれば、ずっと彼女を自分の物にできる。しかし、メレディスはドンがどんな男かを知っていた。ドンはサイを利用した後、会社を解体して、サイを追放するだろう。愛する息子ブレイクのためにも、サイの会社を守らなくては。メレディスはドンの策略を打ち砕いた。しかし、メレディスがサイの会社の経営権を得たことを知ったサイは、自分のプライドのために、メレディスを追いやってしまう。だが、サイは彼女を二度と失いたくなかった。今までの自分の傲慢さに、サイは愕然とし、彼女の望み通りにさせようと決意する。謙虚なサイにメレディスは茫然となった。彼は自分には差し出すものがないと諦めようとしている。メレディスはサイを呼びとめ、彼なしでは生きていけないと言った。サイはメレディスを固く抱きしめた。


彼女からプレゼントされた安物のライターを、彼はずっと持ち続けていた。だが、心の奥底で分かっていた愛は、頭では拒否され、彼はただの欲望だと思い込もうとする。とっても面白い作品です。