455 パリの情事はほろ苦く シャロン・ケンドリック

パリの情事はほろ苦く (ハーレクイン・ロマンス)

パリの情事はほろ苦く (ハーレクイン・ロマンス)

田舎からロンドンに出て来たジェシカは、高い家賃を払うために、昼間の仕事に加えて、夜清掃のアルバイトをしていた。ジェシカの楽しみは会社の会長であるサルヴァトーレを見ることだけだった。ある夜、サルヴァトーレは友人が女性を紹介したがっていることを知り、不機嫌になった。ハンサムで裕福な彼には、女性が群がり、すっかりうんざりしていた。女たちを撃退するには、パートナーを連れて行けばいい。優しくしても、変な期待を持たない女性が必要だ。サルヴァトーレはジェシカに目を止めた。彼女ならいいかもしれない。パーティに誘われて、ジェシカは舞い上がった。どうして冴えない私なんかを選んだのかわからないけれど、上流の生活を垣間見ることができる。だが、サルヴァトーレはジェシカに思いもよらない欲望を覚え、唖然となった。帰りのリムジンの中でキスをされて、ジェシカは恍惚となったが、彼の家に行くと言われて、我に返った。彼はただセックスがしたいだけ。初めて拒絶されたサルヴァトーレは激怒した。翌日、清掃に行くと、サルヴァトーレが待っていた。何もなかったかのように振舞うジェシカにサルヴァトーレはますます昂った。何が何でもベッドに連れて行こうとするサルヴァトーレにジェシカは敬意を払っていないと答えた。それなら、彼女の望み通りディナーに連れて行くとサルヴァトーレは言った。豪華なレストランは場違いな感覚がした。それでも、ジェシカはもうサルヴァトーレを拒むことができなかった。彼が私の身体が欲しいだけなのはわかっている。ジェシカはサルヴァトーレを愛してしまっていた。清掃のバイトを辞め、その賃金の穴埋めの現金を受け取った時も、高価なドレスを受け取った時も、ジェシカは何かが壊れて行くのを感じていた。祖母が骨折し、それにかかる費用を工面するためジェシカはサルヴァトーレにプレゼントされた宝石を売った。それを知ったサルヴァトーレは喜んだ。これで、彼女を責め、関係を終わらせることができる。潮時だと思ってはいたが、本心は彼女をまだ手放したくなかった。彼は私を金目当ての女だと思い込みたがっている。もう限界だ。彼女から終わりを告げられて、サルヴァトーレは激怒し、そんな策略は無駄だと言った。彼女は罠にかけようとしているに違いない。だが、予想に反してジェシカから連絡が来ることはなかった。もう一度、彼女を自分のベッドに呼び戻したい。有名なオペラのチケットは無駄になり、ドレスと宝石は拒絶される。サルヴァトーレは考えた末、ジェシカがセーヌ川の色だと言ったムーンストーンのペンダントを持って、彼女の家を訪ねた。そして、歓迎の色を見せない彼女のよそよそしい態度に、落胆した。ジェシカの心は揺らいだかに見えたが、彼女は愛人を続けるのは無理だと言い、他の女性を捜せと答えた。サルヴァトーレは確信した。彼女以外の女性を欲しいとは思わない。今まで人を愛したことがなかったから、わからなかった。ジェシカを愛している。サルヴァトーレは愛人ではない、妻にしたいと言い、ジェシカは彼の腕に飛び込んだ。


小柄で地味な掃除婦が、シチリアの大金持ちを捕まえる話。できすぎです。