454 くちなしは誘惑の香り メラニー・ミルバーン

くちなしは誘惑の香り (ハーレクイン・ロマンス)

くちなしは誘惑の香り (ハーレクイン・ロマンス)

キーラとパトリツィオは、一目で恋に落ち結婚したが、多忙なパトリツィオにキーラは不安を感じ、度々諍いとなった。女からの電話や、偽造された写真を信じ込んでしまったキーラは家を飛び出し、親友の元に行った。ガースはキーラの話を聞き、頭痛を訴えるキーラに薬を与えたが、そこから先のキーラの記憶は無くなる。翌朝、目覚めるとキーラは全裸でガースのベットにいた。ガースは二人が愛し合ったと認め、家から出るキーラは写真を撮られて週刊誌に載った。パトリツィオはキーラを許さなかった。二人は離婚に向けて歩み始めたが、キーラは罪悪感とパトリツィオへの愛に打ちのめされていた。弟ジェイミーとパトリツィオの甥ブルーノが学校で問題を起こしたことを聞いたキーラは、相談のためにパトリツィオに会いに行く。パトリツィオは思春期の二人のために、離婚を延ばし、復縁を装うことを提案した。キーラはこの同居が明るい未来に繋がって欲しいと微かな期待をかけていたが、やがてそれは打ち砕かれる。パトリツィオは事ある毎にキーラを責め、軽蔑を露わにした。そして、ある日キーラは妊娠に気付いて愕然とする。ガースの子供かもしれない。不安にかられたキーラは、あれ以来連絡したことのなかったガースに電話する。だが、パトリツィオに知られ、罠だとまた責められることとなる。孤立無援のキーラは、憔悴し、倒れた。流産は避けられたものの、血の気のないキーラを見て、パトリツィオは彼女を失うなど耐えられないと思った。憎んでいるのではない。愛しているのだ。
退院したキーラをガースが訪ねて来る。ガースは、自分が同性愛者である事を告白し、問題の夜の詳細を語った。自分の性癖を両親に知られることを恐れ、キーラを利用したのだと。ただ一人信頼できると思っていた親友に裏切られたことに怒りを感じながらも、真実を知っても無駄だとキーラは思った。だが、もう遅いと呟いたキーラの声に「遅くはない」と答える声を聞く。パトリツィオに睨みつけられて、ガースは急いで帰って行った。お互いへの信頼が欠けていたことをパトリツィオは話した。周囲の雑音に惑わされて、結婚を破綻させるところだったと。二人はお互いの愛を確信する。


若くして結婚したキーラには、まだ幼いところが残っていた。留守にするパトリツィオに不満を吐露することが我儘だと思いもしなかった。そんな彼女を可愛いと思いながらも、パトリツィオは彼女の中に巣食う不安に気付かなかった。誰も自分自身を愛してくれはしない。否定されて育ってきたキーラには、確かだと思えるものが欲しかったのだ。最近は女性の浮気も、結構アリって世相になってきてるよね。男にだけ寛大なんて間違ってるものね。