447 炎の果てまでも アン・マカリスター

炎の果てまでも (ハーレクイン・イマージュ)

炎の果てまでも (ハーレクイン・イマージュ)

リースは自分の価値を父親に認められたい一心で、必死に働いた。そして、帰りの遅いリースのために灯された一本の蝋燭のせいで、妻とその中に育っていた小さな命を失ってしまう。罪悪感から、リースは一族の会社を辞め、消防士となった。心の痛みは次第に薄れ、気軽な付き合いもできるようにはなったが、二度と結婚などする気はなかった。上の階にマライアが越して来てから、二人は親しく付き合い始めるが、楽しい友人としての枠を外す気は全くなかった。親友だったジャックが亡くなった時、リースは打ちのめされ、茫然としていた。そんなリースをマライアは慰めるが、抱擁はいつの間にか情熱的になり、二人は一線を越えてしまう。翌朝、隣に眠るマライアを見て、動揺したリースは、そのまま出かけて行った。残されたマライアは、後悔してはいなかった。リースを知るにつれて、彼を愛してしまっていたマライアは、大切な思い出が増えたことを喜んでいたのだ。だが、しばらくして妊娠に気付いたマライアは、リースの反応が怖かった。9週間後、戻って来たリースは、やはり妊娠を喜ばなかった。費用だけ、それ以外は期待するなと彼は言った。その上、父親に相応しい男を見つけろとさえ、言い放った。マライアは、傷つきながらも、明るい態度を崩さなかった。自分が言ったのにも関わらず、他の男性と出かけるマライアを見て、リースは面白くなかった。彼女との気楽な付き合いを取り戻したい。やがて、マライアは医師から安静を言い渡され、リースは子供のためと彼女を説得して、一族の持つ屋敷に連れて行った。彼女には手助けが必要だ。かいがいしく世話を焼くリースを、マライアは受け入れるが、期待は持たないと自分を戒めていた。双子が生まれた時、マライアはリースに感謝して、別れを告げた。これは自分が望んでいたことだ。消火作業に、あちこちに駆り出されながら、リースの頭の中はマライアと双子のことばかりだった。
両親の家で、双子の世話をするマライアを、リースは訪ねた。愛しているから来たというリースの言葉に、マライアも愛していると答えた。リースの持参したクリスマスプレゼントは消防士のクマだった。そして、その衣装のポケットには、プロポーズの言葉が書かれた紙に貼り付けられた指輪が入っていた。


深く愛していた妻を亡くし、生まれなかった子供をも守れなかったことで心を閉ざしてしまった男と、警告に関わらずも、彼を愛してしまった女の駆け引き。葛藤を経て、男は正しい道を見出します。