446 恋人はいらない サマンサ・デイ

恋人はいらない (ハーレクイン・イマージュ (I739))

恋人はいらない (ハーレクイン・イマージュ (I739))

母は恋多き女だったから、ケートリンは蔑ろにされることが多かった。働きながら大学へ行き、教職についてからは、母に生活費を送り、問題児を救うための勉強と、教壇に立つことでケートリンの生活は明け暮れていた。盲腸の手術の後、痛みと疲れで憔悴したケートリンに、同僚のギャビーは静養のために義兄のキャビンに行くよう勧める。ギャビーの言葉に心を動かされたケートリンは、キャビンに向かうが、車の運転とフェリーの旅に、すっかり疲れ切った。キャビンは、じめじめとして、寒かった。熱い湯の出ないシャワーと、薪を取りに行く雨の中の往復でケートリンは風邪をひいてしまう。一眠りしたら家に帰ろうと決意していたケートリンだったが、体調は悪化した。ギャビーの義兄レインは、ケートリンを自分のコテージに連れて行った。自分の面倒は自分で見る。だが、反対する気力も体力も、今のケートリンには残っていなかった。体調が戻ると、レインは絵のモデルになって欲しいと、ケートリンに言った。有名な画家であるレインが書くのは、いつも野生生物だ。腑に落ちないながら、ケートリンは嬉しかった。反面教師の母のせいで、ケートリンは恋をしたことがなかった。どんなに魅力的でも、彼に恋してはいけない。ただの友人でいた方がいい。だが、彼によって目覚めてしまったケートリンの欲望は、彼を痛い程求めていた。相反する感情がせめぎ合い、一方が勝利を納めて、ケートリンはレインに身体を差し出した。素晴らしかった。でも、自分は別れた後、友人でいられる程、強くはない。眠るレインを置いて、コテージを出たケートリンは辛かった。でも、恋人になって、いつか来る別れを待つことも辛かった。彼が恋しい。悲しみを押し殺して、ケートリンは仕事に没頭した。そして、ある日突然レインが現れる。激怒するレインに、ケートリンは戸惑った。レインは素晴らしい一夜のあとで、置き去りにされた理由を知りたがった。彼を傷つけてしまった。でも、真実は言いたくない。しかし、執拗な尋問の末、ケートリンは彼を愛してしまったことを告げざる得なくなった。怒りが去り、笑顔になったレインは、ケートリンに愛していると言った。二人が求めていたものは、同じ。永遠だった。


臆病な男女の恋物語。切ないです。ホットなとこはありません。