445 復讐をささやいて ビバリー・バートン

復讐をささやいて (ハーレクイン・プレリュード)

復讐をささやいて (ハーレクイン・プレリュード)

ガードナーは度々悪夢を見た。母が目の前で殺される夢だったが、どんなに願っても犯人の顔は見えなかった。成人して警察関係の仕事に就いたガードナーは、迷宮入りとなった母の殺害事件を洗い始める。出生証明書の父親の欄には、トーマスと書かれており、ガードナーの生まれる9カ月前に死亡していた。ガードナーは資産家のトーマスの家族が、母ゲイルを亡きものにし、息子を財産分与から外すために、養子に出したと予想を立てる。一番怪しいのはトーマスの兄ボイドだった。画策して、町の警察署長の座を射止めたガードナーは、足がかりとしてボイドの妻の連れ子に目を付けた。金持ちの我儘娘を誘惑して、家に入り込み、真相を探る。だが、挨拶に出向いた銀行で、セシを見た時、ガードナーは方向転換せざる得なかった。無垢な彼女を誘惑するには、慎重にしなくてはいけない。セシは、地味な自分が、素敵な男性の目に止まったことが信じられなかったが、惹かれて行く自分を止めようもなかった。ガードナーはセシを知るにつけ、胸の痛みを覚えた。彼女が欲しい。だが、利用されたことを知ったら、彼女を失ってしまう。純潔を捧げた時、セシは彼を愛していると告げたが、返ってきた言葉は期待したものではなかった。結婚など求めない。今があればいい。しかし、ゲイルの兄が銃弾に倒れ、亡くなった時、秘密が漏れ、ガードナーの素情がばれてしまう。セシから拒絶されて、ガードナーはセシを愛していることを自覚した。彼を信じたい。でも、信じるのが怖い。だが、父と叔父の話を盗み聞きしたセシは、二人がこの犯罪に何らかの関係があることを知る。蟠りは残っているものの、セシはガードナーにその情報を与え、家族より彼を選んだことを伝える。ガードナーはこのチャンスに感謝した。セシを心から愛している。だが、犯人はやって来た。31年前、殺し損ねた子供を葬り去るために。事件は解決し、ハモンド家は崩壊した。ガードナーの悲願は果たされたが、事実は苦かった。辞表を出し、一人町を出ようとするガードナーをセシは追った。ガードナーが愛してくれるなら、他に何もいらない。二人は固く抱き合い、将来を誓った。


ならず者の家に生まれた絶世の美女に群がる男たちと、愛するが故、嫉妬し、憎悪を募らせていった女。女たちと幼子を守るために、男たちは真実を隠匿しようとするが、子供は成人して現れ、秘密を暴いて行くという話。この作家の作品は読みごたえありますね。面白かったです。